アルパカ177頭、りんどう湖へ“お引っ越し” 那須アルパカ牧場、本年度で営業終了

那須アルパカ牧場の営業終了に伴い、りんどう湖ファミリー牧場へ移されることが決まったアルパカ=1月、那須町大島

 【那須】アルパカ専門の観光牧場として国内最大規模を誇る大島の那須アルパカ牧場が本年度限りで営業を終了することが28日、分かった。2008年に国内初のアルパカ牧場として開業し家族連れなどに人気を博したが、11年の東日本大震災以降は来場者数が減っていた。現在は冬季休業期間中で、飼育中のアルパカ177頭は3月中旬にも高久丙の那須高原りんどう湖ファミリー牧場に移動し、園内で展示される。

 那須アルパカ牧場は、1999年に建築資料研究社(東京都豊島区)の創業者である故馬場瑛八郎(ばばえいはちろう)前会長(旧今市市出身)が南米チリから空輸したアルパカ200頭の飼育を町内で開始したことからスタートし、2008年10月に観光牧場としての営業を始めた。09年の年間入場者数は14万人に上り、ピーク時には飼育頭数が399頭にまで増加した。

 営業終了に向け、アルパカ牧場を運営する那須アルパカファーム(大島)は昨年1月、ファミリー牧場を運営する那須興業(高久丙)と協議を開始した。アルパカ牧場で飼育するアルパカの半数を売却し、残る半数の飼育をファミリー牧場に委託する形で契約を締結。約9万平方メートルある跡地についてはアルパカファームが管理を継続し、活用策を検討するという。

 那須興業の矢澤剛志(やざわごうし)会長(47)は「イメージはアルパカのお引っ越し。那須町のシンボル的存在であるアルパカを自分たちが受け入れることで、アルパカ牧場の伝統や魅力を残せると考えた」と前向きな判断であることを強調した。ファミリー牧場は敷地内の動物園でアルパカ6頭を飼育中。現在はアルパカの展示と遊具を融合させた新施設の整備を進めている。

 アルパカファームの鳥取悟(とっとりさとし)代表(60)は「長年、共に歩んできたアルパカたちがファミリー牧場で新たな出発を迎えられることをうれしく思う。これまでと同様、アルパカたちに会いに来てほしい」と願っていた。

 

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