長崎県民に親しまれ10年「県立総合運動公園陸上競技場」 総利用者数224万人

一般供用開始から10年。県スポーツ界の中核施設として定着しているトランスコスモススタジアム長崎

 2014年長崎国体に向けて大規模改修した諫早市の県立総合運動公園陸上競技場(トランスコスモススタジアム長崎)が、13年3月に一般供用を開始してから3日で丸10年となる。陸上の各種競技会やサッカーJ2のV・ファーレン長崎のホーム戦などが行われ、今年1月までの総利用者数は約224万人。県スポーツ界の中核施設として定着している。
 同競技場は1969年に開場。この年に開催された1巡目長崎国体のメイン会場として使われた。2巡目となる長崎国体の開閉会式や陸上競技の会場とするため、2011年3月から改修工事に入り、約2年をかけて完成させた。
 スタンド2層で構成され、収容人数は約2万人。テント幕屋根で覆われ、全座席に背もたれ付きの独立シートを備えたのは都道府県が保有する競技場で初めてだった。競技場本体の工費は約80億円で、周辺整備も含めた総事業費は約100億円。16年には業務受託業国内最大手のトランスコスモスが命名権を取得し、以来「トラスタ」の略称で親しまれている。
 9レーンの400メートルトラックは日本陸連の第1種公認規格に認定されている。5年に1度検定があり、今年2月の検定もクリアした。競技会や記録会でこのトラックを走った選手の中には、18年ジャカルタ・アジア大会マラソン金メダルの井上大仁(三菱重工)、21年東京五輪女子1万メートル7位入賞の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)ら世界で実績を挙げたランナーもいる。
 サッカー競技場としても座席数1万席以上などJリーグ基準を満たす。日本フットボールリーグ(JFL)時代、競技場問題でJ2昇格を断念していたV長崎にとって待ち望んだスタジアムで、今年もリーグ戦21試合を開催する。クラブ初のJ1昇格が懸かった17年11月11日の讃岐戦は、2万人を超えるサポーターが詰めかけた中で悲願を成し遂げた。女子代表「なでしこジャパン」や森保一監督(長崎市出身)率いる男子U-22日本代表などの国際試合も行われてきた。
 年間の利用者数は長崎国体が開かれた14年度の約34万人がピーク。その後は堅調に推移してきたが、コロナ禍に見舞われた20年度は約14万人に減少した。それでも「ウィズコロナ」の時代となり、今年2月18日のV長崎開幕戦は1万1165人が来場。26日には400人超のランナーが参加した県下一周駅伝代替大会が実施されるなど活気が戻ってきている。
 同競技場の指定管理者で県公園緑地協会の田渕和也専務理事は「これからも安心安全で、子どもから高齢者までの全世代に親しまれる交流拠点になってほしい」と期待を込めた。

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