岸田首相「さまざま」答弁封印、子ども関係予算倍増巡り「社会保障費から」 参院予算委

国会議事堂(資料写真)

 2023年度予算案の参院予算委員会での審議が1日始まった。岸田文雄首相は立憲民主党の辻元清美氏から子ども関係予算倍増構想を巡り「『さまざま』を使わず財源措置を答えよ」と迫られ「社会保障費を軸に考えたい」と明らかにした。増税の可能性については「申し上げる段階ではない」として明言を避けた。

 首相が社会保障費からのやりくりを明言したことで政府与党内に波紋が広がっている。厚生労働省の政務三役を経験した与党議員は「高齢者医療費だけをとっても増加の一途。社会保障費のどこからも子ども関係へ追加予算を回す余裕はないはずだ」と指摘。「防衛費増で他の予算費目も絞り切っており、水1滴出ない。統一地方選前の大事な時期に『増税しか道がない』という観測が広がりかねない」と懸念を明かした。

 この日の質疑で辻元氏は「総理の口癖である『さまざま』が出る時は『さまざまな議論』『さまざまな意見』などのごまかしの時だ」と断じ「私との論戦では封印を」と要求。首相は自席でうなずき応じた。

 辻元氏は鈴木俊一財務相から「防衛費財源の捻出はぎりぎりだった」との答弁を引き出した後に「それならば子ども関係の財源はどこにあるのか」と追及。首相は「防衛費増額は『非社会保障費』から行ったのでそれを踏まえ考えていく」などとし、「最優先で取り組むべきものは何かをパッケージで示したい。財源は従来予算の状況や内容を踏まえ、支えるためにどうあるべきかを考えていく」とした。

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