最初の“Gen3”公式テストはカマロZL1が最速。『疑惑解消』に向け開幕前直線テストを追加か/RSC

 新車両規定“Gen3”導入で新時代の幕開けを迎えるオーストラリア大陸最高峰のツーリングカー・シリーズ、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップが2月22日、シドニー・モータースポーツパークで公式テストを実施。今季2023年より『シボレー・カマロZL1スーパーカー』をドライブするアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング)が最速タイムを記録した。

 また3月10~12日の開幕戦『ニューカッスル500』に先立ち、シリーズ運営組織は昨年来実施されてきた車両制御と空力テストの裏で、北米のフォード本社より「カマロとの性能均衡に関する懸念事項」が表明されたことも受け、改めて『フォード・マスタング・スーパーカー』のいわゆる“三味線疑惑”を払拭するべく追加のストレート・ライン・テストを実施する意向を示した。

 各陣営によるGen3規程車両の製造完了と2023年仕様カラーリングのお披露目に続き、ニューサウスウェールズ州に位置する旧イースタンクリークのトラックに集った全25台の新型モデルは、ここで初めて合同プレシーズンテストに臨んだ。

 午前と午後で約2時間ずつ設定されたセッションでは、走り出しからシボレー陣営がタイムボードの上位を占め、まったく新しいシボレー・カマロZL1のステアリングを握ったハイムガートナーが1分26秒6787の最速タイムを記録。初代TCRオーストラリア王者のウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1スーパーカー)を0.0157秒上回り、総合トップで1日を終えた。

 そのブラウンの僚友を務めるブロディ・コステッキ(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1スーパーカー)が0.1064秒遅れで3番手タイム、続いてマコーレー・ジョーンズ(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/シボレー・カマロZL1スーパーカー)が0.3秒遅れの4番手に。

 以降、シボレー陣営のチームがセッションを支配し、上位8台はすべてカマロのドライバーが占めることに。ディフェンディングチャンピオンの“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1スーパーカー)は7番手、そして2014年シリーズ王者マーク・ウインターボトム(チーム18/シボレー・カマロZL1スーパーカー)が8番手で続いた。

 この結果、ライバルのフォード陣営はトッド・ヘイゼルウッド(ブランチャード・レーシングチーム/フォード・マスタング・スーパーカー)が首位から1秒遅れの9番手、そして今季からチームの歴史上初となる“ブルーオーバル”へのスイッチを決めたチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング・スーパーカー)が、辛くもトップ10に喰い込む最終リザルトとなった。

旧イースタンクリークのトラックに集った全25台の新型モデルは、ここで初めて合同プレシーズンテストに臨んだ
初代TCRオーストラリア王者のウィル・ブラウン(Erebus Motorsport/シボレー・カマロZL1スーパーカー)と、僚友ブロディ・コステッキが2-3番手に並んだ
ライバル陣営の結果に「解せない部分がある」と懸念を示したアンドレ・ハイムガートナー(Brad Jones Racing/左)

■「わずかな嫌疑も見逃すことはできない」とシリーズCEO

 さらに午後のセッションでは、残り15分の時点でモスタートの僚友ニック・パーカット(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング・スーパーカー)が赤旗の起因に。コース中盤でトラブルからマシンを止め、そのままセッション終了となるなど、第7世代マスタングの仕上がりに一抹の不安を感じさせることとなった。

 この状況を受け、トップタイムを記録したハイムガートナーも「解せない部分がある」と述べ、自陣の好調さよりフォード陣営全体が「パフォーマンスそのものを隠している……という疑念を抱かざるを得ない」との見解を露わにした。

 こうしたパドック全体の懸案やフォードからの“意見表明”も受け、シリーズオーガナイザーとその技術部門は、2台の相対的なエンジンと空力性能について仕様を最終決定するにあたり、今後数週間で追加のVCATテストを行うことを示唆した。

「スーパーカーは3月10日に新規定車両がデビューを飾る前に、シボレー・カマロとフォード・マスタングの現在の仕様を検証するため、追加の直線評価テストを実施するつもりだ」と説明したシリーズCEOのシェーン・ハワード。

「新型カマロとマスタングで、ここまで述べ1万km以上のテストラップとシェイクダウンが完了し、直近の数週間で展開された柔軟なテスト体制を、全チームが享受した方法には非常に満足している。それぞれのメーカー、ホモロゲーションチーム、およびスーパーカーの間で共同開発されたVCATテストの手法は、すべての利害関係者、そして重要なことに情熱的なファンに最高のレーシング・シリーズを提供するのに役立てられる」と続けたハワード。

「そのため、わずかな嫌疑も見逃すことはできない。このスポーツにおける歴史上で最大の変化が近づくにつれ、同等性こそが我々のスポーツの継続的な成功の基礎である。そのため、新しいスーパーカーの相対的なパフォーマンスを検証し続けることが不可欠なんだ」

 これにより、双方が搭載するエンジンの出力特性やマッピング、そしてエアロデバイスの仕様などが、ここへ来て再検討される可能性も出ている。

「テストは、認定されたホモロゲーションプロセスに合致して、すべての関係者が透明かつ協力的な方法で、公正かつ公平に扱われるよう厳密に管理される。我々はファン、チーム、すべての利害関係者に対する責任を非常に真剣に受け止めているため、この検証テストは前進するプロセスを強化するものと信じている」

視認性向上のため、フロントガラスのデザインと、ドライバー名や競技番号の位置、サイズ要件にも変更が義務付けられた
公式燃料サプライヤーであるbpは、今季より第2世代の再生可能原料を80%以上含有する『bp E75 Racing Fuel』の供給を発表している
シリーズは改めて『フォード・マスタング・スーパーカー』のいわゆる”三味線”疑惑を払拭するべく「追加のストレート・ライン・テスト」を実施する意向を示した

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