「工程に沿って進めている」知事 石木ダム収用地の工事着手で 長崎

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業により強制収用した用地で工事に着手したことについて、大石賢吾知事は1日、報道陣に「工程に沿って進めている。収用地だから(着手したわけ)ではない」と述べた。元所有者の住民が土地を買い戻す権利(買受権)との関連は「全くない」と否定した。
 土地収用法は事業認定告示日から10年後に「全部を事業の用に供しなかったとき」に買受権が生じると規定。これが今年9月に発生すると懸念する朝長則男市長が昨年12月、大石知事に収用地での着工を迫っていた。
 その動きを受けての着工かどうかを問われ、知事は「(工事は進んでおり)そもそも買受権は発生しないという認識」と従来の考えを繰り返した。
 現場ではこの日も反対住民らが座り込み。降雨で工事がストップした後も、日没近くまで抗議行動を続けた。
 反対住民の石丸勇さん(73)によると、2月24日、県側に収用地と私有地の境界について疑念があると訴えると、測量をする旨の回答があったという。だが28日朝に測量できないと伝えられ、「約束したことをほごにされた」と憤った。
 これに対し、県石木ダム建設事務所は「(測量をする旨の)話をしたのは事実」と認めた。ただし、確定した収用地の図面変更はできないことも伝えたという。その後、内部で検討した結果、測量はできないと判断したとしている。

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