栃木県内議会の傍聴者6割減 コロナで隔たり 政活費残余率は上昇 21年度は2798人

本会議の傍聴者数(人)

 栃木県議会と25市町議会の2021年度の傍聴者数は計2798人にとどまり、4年前に比べて6割減少したことが1日までに、下野新聞社が実施した県内議会アンケートで分かった。益子町を除く議会で減少した。一方、県議会と16市町議会で議員に交付されている政務活動費(政活費)のうち、使い切らずに返還した「残余率」も上昇。新型コロナウイルスの影響で県民の議会との関わりのほか、議員活動自体にも大きな影響が出ていることが浮き彫りとなった。

 新型コロナの感染拡大により、県内議会では20年の6月議会から一般質問を中止したり、一般傍聴を停止したりするケースが相次いだ。アンケートでは21年度の本会議の傍聴者数を聞き、17年度の人数と比較した。同年度は計7640人だった。

 県議会は335人で、1054人(76%)減少した。コロナ対策として傍聴者数を制限したことが影響した。

 宇都宮市議会は324人で、733人(69%)減、足利市議会は182人で、442人(71%)減少した。17年度に134人だった下野市議会は、議場での傍聴を停止していたため0人だった。

 コロナの影響で、政務活動費を返還、削減するなどの動きも目立った。政活費は2000年の地方自治法改正で「政務調査費」として導入。地方議会の活性化と政策立案能力向上に向け、政策研究のための視察旅費などに使うことができる。

 県議会は21年度、県外調査や海外行政調査を中止し、政務活動費も年間予算の2割に当たる3600万円を削減した。宇都宮市議会は、コロナ前の19年度に27%だった残余率が21年度は38%に上昇した。

 真岡市議会は47%だった残余率が88%に、矢板市議会は35%が77%に上昇。壬生町議会は19年度は全額使い切ったが、21年度は残余率が77%に上った。野木町議会は、21年度の政活費の支給を取りやめた。

 議会活動を市民に伝え、各分野の現場の声を議会に反映させる議会報告会もコロナ禍の20、21年度は中止する議会が相次ぎ、動画配信で代替するなどの対応が見られた。

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