悲鳴…襲撃の高校生、教員とつかみ合い 怖がる教室の生徒ら、聞こえた叫び声 母ら駆け付け「まさか」

高校生逮捕、中学校を襲撃=戸田市

 試験中の教室の静寂が突然破られた。埼玉県戸田市立美笹中で1日白昼に起きた殺人未遂事件。現行犯逮捕された男子高校生(17)は「誰でもいいから人を殺したいと思った」と供述。教員たちは身をていして教え子を守りながら高校生を取り押さえた。「先生がやられた」と響く悲鳴。保護者らは「不安で怖い」と声を震わせた。

■生徒は集団下校、校門前に保護者

 事件を目撃した生徒の友人によると、事件発生当時はテスト中。被害男性教員は被疑者と廊下でつかみ合いになっていたという。3階の教室にいた2年生の男子生徒(14)は、男性の叫び声を聞いた。「怖かった」と振り返った。その後に教員から事件があったことを知らされ、クラスごとに落ち着いて避難したという。他の生徒も教員から「ナイフを持った人がいる」と説明を受け、同じクラスの生徒と避難したという。

 同校に3年生の孫が通っている70代の女性は、「県立高校の合格発表の直前にこのような事件が起きて驚いた。とても心配」と表情を曇らせる。

 同校2年生の妹がいる卒業生の男性(15)はインターネットの報道を見て学校に駆け付けた。男性によると、この日は期末テスト期間中で、生徒らは午後2時ごろには帰る予定だったという。

 付近で発見された猫のような動物の不審な死骸と関連している可能性があることについて「最近物騒で落ち着かないが、これ以上同じようなことが起きなければいい」と語った。同じく卒業生の女性(16)も「恩師や部活の後輩が怖い思いをしていないことを願うことしかできない」と話した。

 同校では午後3時過ぎ、校内にいた生徒が集団下校を行った。保護者らは校門前に集まり不安な表情を浮かべ、わが子と対面すると寄り添うように帰路に就いた。1年生の息子を迎えに来た保護者の女性(39)は、午後1時過ぎに学校の情報共有アプリから事件の知らせを受け取った。犯人が確保されたことと生徒にけががないことを知らされ安堵(あんど)したが、子どもが心配で学校に駆け付けたという。「まさかこの学校で事件が起きるとは思わなかった」。

 同校では同日夜、保護者向けの説明会が開かれた。

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