高校生逮捕、中学校を襲撃…興味あった無差別殺人 事情聴かれる家族 昼の襲撃を選んだ理由判明「確実に」

見つかった猫の死骸と切り付け現場

 埼玉県戸田市美女木5丁目の市立美笹中学校で男性教員(60)がナイフで襲われ負傷した事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された、さいたま市浦和区に住む高校生の少年(17)が、無差別殺人に興味があった趣旨の供述をしていることが2日、捜査関係者への取材で分かった。昼間の時間帯を狙った理由について「確実に学校がやっているため」と話していることも判明。犯行に使ったとみられるナイフを含めて、複数の刃物を所持していたという。少年は「誰でもいいから人を殺したいと思った」と供述していて、県警は強い殺意があったとみて、詳しい経緯を調べている。

 事件が発生したのは1日午後0時20分ごろ、戸田市立美笹中学校の校舎3階の教室後方のドアからナイフを持った少年が侵入。試験監督をしていた男性教員が気付き、室内にいた28人の生徒を前方のドアから避難させた。男性教員は教室前の廊下で、騒ぎに気付いた他の男性教員3人と共に少年を取り押さえ、駆け付けた警察官に引き渡したが、取り押さえる際に負傷した。

 男性教員の上半身には複数の刺切創があり、腕には抵抗した際にできる防御創とみられる傷があったことも新たに分かった。男性教員は数カ月以上の加療を要する見込みで全治不詳の重傷。命に別条はなく、現在は入院しているという。事件発生時、1、2年生は試験中で校内には180人の生徒がいた。生徒たちと他の教員にけがはなかった。

 県警によると、少年は複数の刃物を所持していたが、犯行に使用したとみられるナイフは廊下で発見され、押収された。

 県警は1日夜、少年の自宅を捜索。タブレット端末やスマートフォン、ナイフ1本などを押収した。捜査関係者によると、少年は無差別殺人に興味があったという旨の供述をしていて、家族から事情を聴くとともに押収したタブレットやスマホの解析を進め、殺人未遂事件に至った動機なども慎重に調べる。

 戸田市と隣接するさいたま市内の学校や公園などでは2月13~26日にかけて、切断された猫の死骸や体の一部などが見つかる事件が相次いでいる。捜査関係者によると、少年は猫の虐待について、関与をほのめかす供述をしており、県警は関連を捜査している。

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