「大学でも日本一」バドミントン 櫻井煌介(瓊浦高→法大) <心新たに 2023年春・7>

「早い段階での日本代表入りも目指したい」と意気込む櫻井=長崎市、県立総合体育館

 一つ一つの努力を地道に積み重ねてきたから、今の自分があると自信を持って言える。だから、部活動を引退した後もずっと、後輩たちと一緒にラケットを振り続けてきた。昨夏、インターハイのバドミントン男子団体で長崎県勢初優勝を飾った瓊浦の主将、櫻井煌介の次の目標は「大学でも日本一」。そのための準備は欠かさずに続けている。
 強打が最大の武器。その原点は挫折を味わった中学時代にある。
 それまではU13日本代表入りするなど、順調に成長の階段を上がっていた。だが、地元の宇都宮市の中学に進んだ後、身長の伸び悩みとともに勝てなくなった。高校3年生で迎える栃木国体の強化選手からも落選。「もうやめようかな…」。そう思ったこともあった。
 転機は3年時にクラブチームを移ってから。練習メニューを見直し、体幹などの基礎トレーニングを重ねた。身長も伸び始め、徐々に打力が上がった。夏には全国中学大会個人シングルスの出場権を得て、再びライバルたちと肩を並べた。
 高校進学後の出会いも大きかった。ペアを組んだ南本和哉は粘り強いラリーが持ち味。相棒は長所である強打を最大限に生かしてくれた。結果、2人はエースペアとしてインターハイ団体Vの原動力となり、個人ダブルスも準優勝。家族や友人らが応援に来てくれた地元開催の栃木国体も準優勝できた。

南本(左)と一緒にインターハイ団体優勝に貢献した櫻井=徳島県吉野川市、日本フネン市民プラザ

 国体後はU19日本代表メンバーとして世界ジュニア選手権(スペイン)に出場。世界のレベルの高さを肌で知った。「日本だったら決まるスマッシュも普通に取られる。技術の精度も違う。もっとパワーをつけなければと思った」。努力のしがいがあるライバルがまた、目の前に現れた。
 次の目標に掲げる「大学日本一」は1種目ではない。団体、シングルス、そして南本とのダブルスの3種目だ。「このコンビが絶対に合っている」。そう背中を押してくれた指導者たちの思いも胸に、2人はそろって法大へ進む。「これまでは自分が足を引っ張ることの方が多かった。今はまだ“打つ”しかないので、細かなところを突き詰めていきたい」
 もう一つ、大切にしていきたいことがある。歴代のOBがそうしてくれたように、時々瓊浦に戻って、後輩たちの練習につき合いたいと思っている。その時は2人で、もっと大きくなった背中を見せるつもりだ。

 【略歴】さくらい・おうすけ 宇都宮市出身。小学1年生から競技を始め、5年生でU13日本代表入り。地元の中学を卒業後に瓊浦高へ進み、主将として挑んだ昨夏の四国インターハイで県勢初の団体優勝、個人ダブルスで準優勝した。凱旋(がいせん)試合となった秋の栃木国体も準優勝。U19日本代表として臨んだ世界ジュニア選手権のダブルスで8強入りした。好きな食べ物はオムライス。180センチ、74キロ。


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