欧米で注目の新メンタルヘルス対策「博物館浴」 リラックス効果を検証 宮古島でデータ収集

 【宮古島】沖縄県宮古島市総合博物館と九州産業大学は2月12日、同館で「博物館浴でリラックスしよう!」を開いた。展示鑑賞をメンタルヘルス対策に活用するため、科学的データ収集ワークショップの一環で開催した。参加した市民の鑑賞後の心拍数などを測定し、リフレッシュ効果について検証した。

 九州産業大学では地域の医療・福祉機関と連携して「博物館浴」の研究を進めている。12日は同大学地域共創学部の緒方泉教授が来島し、データ収集に取り組んだ。「博物館に行って落ち着く」「美術館で絵を見て癒やされる」などの経験は誰しもあるものだが、これまで科学的根拠はなかった。

 緒方教授によるとカナダでは約10年にわたって根拠となるデータが集められ、処方箋にも「博物館浴」と記載されるまでになるなど、欧米では近年、展示鑑賞をメンタルヘルス対策に活用する取り組みが始まっている。緒方教授は「博物館の新しい利用法として期待が持てる」と説明した。

 12日の測定では参加した市民を展示内容(考古・歴史民俗/自然美術工芸)の2班に分けて館内を鑑賞してもらい、データを計測した。緒方教授によると鑑賞後の交感神経と副交感神経のバランスが良く、実際にリラックス効果がうかがえた。一方で、活気活力を示す値では考古・歴史民俗で数値が上がり、自然・美術工芸では下がった。緒方教授は「作品資料による影響の差は今後の課題としたい」と語った。

(佐野真慈)

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