「天国の娘と卒園祝いたい」5歳で早世、娘の保育園に風船で感謝を 家族がCF挑戦 宇都宮の大田和さん

保育園の友達から贈られた励ましの手形を喜び闘病した瑠璃ちゃん=2021年12月

 「天国の娘と一緒に卒園を祝いたい」-。宇都宮市、保育補助員大田和涼子(おおたわりょうこ)さん(41)は、白血病のため昨年3月に5歳で亡くなった長女瑠璃(るり)ちゃんが過ごした保育園の卒園式に風船を贈る計画を進めている。資金調達などのためクラウドファンディング(CF)に挑戦、「亡くなった後も娘のことを大切にしてくれる園と園児に感謝の心を届けると同時に、難病と闘う子どものことを知ってほしい」と協力を求めている。

 あずま保育園(宇都宮市宿郷2丁目)の卒園記念写真には、園児に抱かれたかわいいクマのぬいぐるみが写っている。「瑠璃ちゃんベア」と呼ばれ、園児たちの大切な友達だ。

 瑠璃ちゃんは2020年夏、3歳の時に「急性骨髄性白血病」が発覚し、すぐに入院、治療に入った。薬の副作用で髪が抜け、吐き気でぐったりすることもあった。

 闘病中、楽しみにしていたのは、1歳の時から共に過ごした園児たちからの手紙やビデオレター。「病気を治してみんなのところへ遊びに行きたいと頑張っていた」(大田和さん)。園や保護者らは物心両面で大田和さん一家を支えた。

 瑠璃ちゃんは家族から2度の骨髄提供を受けたが、昨年3月12日、5歳で天国へ旅立った。

 悲しみに暮れる大田和さんを思い、大貫友重(おおぬきともえ)園長(47)の提案で瑠璃ちゃんベアが通園することになった。年長となるはずの1年間、園児たちに背負われたり抱っこされたりして、いつも一緒に過ごしてきた。大貫園長は「園児たちは成長するにつれ瑠璃ちゃんのことを忘れてしまうかもしれない。でもベアがいる写真を見た時、何か心に残っているものを感じるのでは」と話す。

 大田和さんは感謝の気持ちを示そうと、29日の卒園式で環境に配慮した風船を飛ばし門出を祝うことを計画。風船には、瑠璃ちゃんのアイコンだったヒマワリの種と園児たちが書いた夢などのメッセージを付ける予定だ。CFは専用サイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」から。瑠璃ちゃんの命日の12日まで受け付ける。目標額は30万円。

亡くなった瑠璃ちゃんの代わりに園児が大切にするぬいぐるみ「瑠璃ちゃんベア」と園児たち=2月下旬、宇都宮市、あずま保育園

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