「住民と共に歩む関係性に」山あい拠点のプロ卓球チーム「静岡ジェード」 地元イベントから見えた成功への道筋

中山間地に拠点構え活動開始

2023年秋に開幕する2023-24シーズンから卓球Tリーグ男子に参戦する「静岡ジェード」。チームの拠点は、静岡市の中山間地「オクシズ」呼ばれる地域です。2月1日のチーム名決定後、初めてとなるイベントが先日、静岡市葵区の市立藁科中学校で行われました。

【写真を見る】「住民と共に歩む関係性に」山あい拠点のプロ卓球チーム「静岡ジェード」 地元イベントから見えた成功への道筋

体育館での講習会には、静岡県内外から100人以上が参加し、トップ選手から、技術指導や初心者も卓球に親しめるようなアドバイスを受けたほか、校庭では、音楽ステージや地場産品・グルメブースも出店し、多くの人が訪れイベントは大盛況となりました。

ラリーを披露する森薗選手(写真左)と船本選手

世界選手権メダリストらがイベント盛り上げ

今回、講習会の講師を務めたのは、2017年の世界選手権ダブルス銀メダリストの森薗政崇選手(BOBSON)。丁寧で分かりやすい語り口や、参加者がリラックスして講習に臨めるような工夫を凝らすなど、日本のトップ選手として、卓球の魅力発信の機会を大事にしているようでした。

森薗選手は、今回の講習会を「参加者やボランティアの方がとてもやりやすい空間を作り出してくれていた」と振り返りました。さらに「今回、静岡にチームが誕生したのは、Tリーグにも、また卓球の裾野を広げるためにも非常に意義が大きい」と語り、チームが順調に滑り出すためには「地域とよい関係を築くことが大事。そのためには地域の人との関わりが大切」と力説しました。

森薗選手は、ドイツのブンデスリーガで10年間のプレー経験があります。「ドイツでは、地域とチーム・選手の関係が密接だと感じていた。選手は地域に住んで、住民と共に歩むというのが当たり前だった。静岡もそういう関係性になっていけるといい」と語り、静岡ジェードがどれだけ地域との信頼関係を築いていけるかをチーム成功のポイントに挙げました。

同じく講師を務めた船本将志選手(日野キングフィッシャーズ)は、「一体感を感じられるよいイベントだった」と絶賛。静岡ジェードの成功には「このチーム、この人なら応援したいと思わせるチームをづくりがカギ」と話しました。

コンセプト「地域と共に」が浸透、官民挙げてバックアップ

チーム発足の準備段階で、静岡ジェードの運営会社「静岡オクシズUU」の河村水稀社長は、自治会へ何度も足を運び、地域と共に進んでいきたいというチームのコンセプトを伝え続けました。その努力が奏功し、今回のイベントには、多くの地元ボランティアが協力しました。

加えてオクシズ地域のある静岡市葵区も、行政としてバックアップ体制を取っています。競技の魅力を広めるイベントだけでなく、卓球を絡めた社会貢献活動を通して地域に根付くチームになるよう手助けをしていくとのことです。

開幕まで約半年。この時間を有効活用し、今回のイベント成功で芽生えた地域とのよい関係をどこまで広げていけるのか、静岡ジェードの挑戦に、地元から熱い視線が注がれています。

(SBSアナウンサー 岡村久則)

© 静岡放送株式会社