我慢の3年「頑張ったね」 見守った大人らの思い、夕空染める 川口神根中、花火600発で3年生を歓送

コロナ禍で苦労した生徒たちを慰労する打ち上げ花火=1日夕、埼玉県川口市神根

 埼玉県川口市神根の神根中学校=松村一人校長(58)、生徒数532人=で1日夕、打ち上げ花火が行われた。同校ではこの日、1、2年生が3年生を送る歓送会があり、その後の夕暮れ時を待って行われた。

 主催したのは同校PTA。岡村涼子会長は「3年生はコロナ禍の休学で入学式は6月。それから不自由で我慢の学校生活だった。でも、何か思い出に残ることをしてあげたかった。生徒たちには3年間よく頑張ったね。ご苦労さんと言いたい」と語った。

 この日、午後5時過ぎ、校庭の東側に、3年生を真ん中にして1年生と2年生が両側に、生徒たちが集まった。西の空が赤く染まり出したころ、PTAが頼んだ秩父の花火師による花火が始まった。

 松村校長は生徒たちに「遠き山に日が落ちて、の感じになってきた。3年間コロナで苦しんだけれど、今日はPTAの皆さんに感謝の気持ちで花火を見よう」とあいさつ。

 ピカピカの新しいスーツに身を固めた3年生の学年主任、柏原健吾教諭(58)が「カウントダウンやるぞー」と声を張り上げた。「30万円の予算なので、シューン、パパーンで終わっちゃうかも」と岡村さん。だがいざ始まると、色とりどり、形もいろいろの花火が夕空ではじけた。

 打ち上げたのは600発。最後の見せ場はナイアガラ。生徒たちは肩を寄せ合い、時を惜しむように立ちつくし見つめていた。

 3年生の小宮山悠希さんは「コロナでつらいこともあったけれど、最後の最後にこの花火。感動した。楽しくてうれしい気持ち」と話した。守谷漣さんは「この花火はとてもいい思い出になると思う」。宮崎昊汰さんは「3年間は勉強と部活の両立が大変だった」。三浦翔さんは「この花火で元気になった」と話した。

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