ハンドボール実業団チーム「北陸電力ブルーサンダー」33年の歴史に幕 福井で解散式、魂は4月発足のクラブへ

解散式でファンに手を振る北陸電力の選手=3月4日、福井県永平寺町の北陸電力福井体育館

 ハンドボールの実業団チーム「北陸電力ブルーサンダー」の解散式が3月4日、福井県永平寺町の北陸電力福井体育館で行われた。1990年の創部当初から掲げるスローガン「不撓不屈(ふとうふくつ)」の精神で戦い抜いた33年をファンらと振り返り、その歴史に幕を下ろした。4月からは、選手の多くが移り発足するクラブチーム「福井永平寺ブルーサンダー」が活動をスタートさせる。

 この日は日本リーグ最終戦。トヨタ車体をホームに迎え、立ち見が出るほどの観客約600人が会場を埋めた。敗れはしたが最後まで全力プレーを続けた選手に大きな拍手が送られた。

 試合後の解散式では、藤坂知輝主将が部旗を北陸電力の松田光司社長に返納。松田社長はあいさつで、現チームを母体に発足する「福井永平寺ブルーサンダー」が来年開幕予定のプロリーグに参入内定していることを踏まえ、「解散式ではあるが、新しいステージに向け新たな一歩を踏み出すという状況。北陸電力は新しいチームの生みの親の一人であり、新チームや福井県のスポーツ振興に全力で取り組む」と述べた。

 33年間の軌跡を映像で振り返った後、第6代監督として今季の指揮を執った須坂佳祐監督は「北陸電力やファンのおかげで、選手、スタッフは何一つ不自由なくハンドボールに打ち込むことができた」と感謝の言葉を述べ、「チームは生まれ変わるが伝統と遺伝子は受け継ぐ。引き続き温かい声援を」と呼び掛けた。最後に選手たちが観客に手を振りながら会場を1周。一人一人に記念品の菓子を手渡して見送った。

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 式後、藤坂主将は「プロリーグでは選手の責任感や熱さが今よりも上がると思うので、期待してほしい」と述べた。会場設営などのボランティアを務めた高志高男子ハンドボール部主将の男子生徒は「試合の雰囲気から地元に愛されているチームだと実感した。福井にプロチームが誕生し、ハンド界がもっと盛り上がってほしい」と期待した。

 福井永平寺ブルーサンダーは永平寺町を本拠地とし、運営は株式会社「永平寺町ハンドボールまちづくり推進機構」が担う。4月25日に発足式が行われる。

 北陸電力ブルーサンダー 北陸電力の地域貢献活動の一環で、実業団チームとして1990年創部。福井県永平寺町を本拠地とし、国体や全日本実業団トーナメントで実績を重ね、92年3月に日本リーグ2部昇格を果たした。96年に2部初優勝し、翌年に1部昇格。1年で2部に降格したが、2002~05年は2部4連覇を達成。06年に2部のチーム数減少に伴う1、2部統合後も日本リーグに所属している。22年の全日本社会人選手権では過去最高の4位に入った。

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