「痛くても、何を言われても、開幕戦は出るつもり」怪我療養中の山下健太が鈴鹿に姿を見せる

 3月6日から鈴鹿サーキットで始まったスーパーフォーミュラの公式テストでは、各車が開幕に向けて精力的に周回を重ねた。そんな中、KONDO RACINGのピットには、1月のスーパーGTメーカーテストで大クラッシュを喫し、現在療養中の山下健太の姿をがあった。現在の身体の状態や復帰に向けたスケジュールなど、本人に聞いた。

■1カ月の絶対安静。S耐開幕戦での復帰目指すも「今のところ微妙」

 山下は1月24日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーGTのメーカーテストに参加していたが、130Rで大クラッシュ。当時は自力でマシンから脱出したものの、実際には脊椎の圧迫骨折をしていたとのことで、およそ1カ月にわたって絶対安静の生活を送っていたという。

「1カ月ちょっとくらいは外に出ていなかったです。2月後半くらいに外に出られました。今はリハビリがてら1日30分以上は歩かないといけないので、外にも出ていますが……まだ痛みがある状態で、実際(マシンのコックピットに)座れていないです」と山下。自宅での静養中は怪我の治療のため自由に動くこともできないため、精神的にもストレスがかかったという。

「テストも全部参加できなかったですし、ずっと寝転がってテストの様子を追いかけていましたが、だいぶ(精神的に)くるものはありました。でも、そこを支えてくれる人がいたので、ありがたかったです」

「こうして、リハビリがてら(サーキットに来るのは)ちょうどいいかなと思います。家で寝転がっているよりは全然いいです。ファン感も来ていなかったので、今日サーキットに来るのが久しぶりで、このSF23を見るのも初めてでした」

 すでに今回のスーパーフォーミュラ公式テストに加えて、次週岡山国際サーキットで予定されているスーパーGT公式テストも欠席になることが、チームから発表されている。

 その翌週にはスーパー耐久の開幕戦が鈴鹿サーキットで控えており、山下はST-QクラスのORC ROOKIE GR86 CNF Conceptのドライブする予定だが、そこについても「GTとかSFよりはスピード域も低いので、そういうところから始めていければベストかなと思っています。ただ、今のところはS耐の開幕戦も微妙な状態です」と現状を語った。

 そのあたりは医師と相談しながら最終的に判断していくことになりそうだが、「回復の度合いには個人差があるので、なんとも言えないところはあるみたいなんですけど、骨がくっつくまでには3カ月くらいかかってしまいます。それでも基本的に痛みがなくなった時点で大丈夫というところがあるらしいです」と山下。それでも4月8〜9日に予定されているスーパーフォーミュラの開幕戦にはなんとしても間に合わせたいと、強い意気込みを見せた。

「開幕戦は、痛くても出るつもりでいます。いきなり2連戦ですけど、逆に(欠場して)2レースを落とすことになったら今年終わってしまうので……何を言われても出るつもりです」

 今年は参戦車両がSF23に変わり、シーズン前のテストも一度しかないということもあり、山下は開幕までに新パッケージのマシンに乗れないことが確定してしまった。それでも「今回のSFはテストも参加できずに、ぶっつけ本番でいくので、逆に吹っ切れて『やるしかない』という感じで頑張りたいなと思います」と、来るシーズンに向けて気合いが入っている様子だった。

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