TGR WRCチャレンジプログラム2期生、山本雄紀がフィンランド・ラリー選手権で初の表彰台獲得

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が3月3日(金)~4日(土)に開催されたフィンランド・ラリー選手権第3戦『ユバスキュラ・タルヴィ・ラリー』のSM3(ラリー4)クラスに参戦した。

 同大会では山本がクラス3位入賞を果たし自身初の表彰台を獲得。小暮はクラス10位、大竹は最終ステージでのアクシデントによってリタイアとなった。

 今回は3選手にとって、1月のアークティック・ラップランド・ラリー、2月のラリー・スウェーデンに続いて3度目のスノーラリーであり、このユバスキュラが冬のトレーニングの締めくくりとなる。

 ユバスキュラ・タルヴィ・ラリーの舞台となるフィンランドのユバスキュラは、3選手が昨年から移住して拠点としている地域だ。このラリーは全7本、合計88.92kmのSSで争われ、7本すべてのSSが異なるステージで構成されている。また、WRCのラリー・フィンランドで使用されてきた道もステージとして多く使用されており、チャレンジングなラリーとなっている。

 これまで2回のスノーラリーでは車両トラブルに見舞われ、力強いパフォーマンスを見せながらも完走を果たせなかった山本/ミイカ・テイスコネン組だが、今戦は競馬場のトラックで行われたデイ1のSS1から一貫したペースを保ち、その速さを発揮した。
 
 翌日のデイ2、山本は森の中で行われたSS5でクラストップタイムを記録し、後続の4番手の選手との間に12.2秒という安全なマージンを取ることができた。山本はそのまま3位でフィニッシュし、自身初の表彰台を獲得。これまでのトレーニングの成果を結果に繋げることに成功した。

 過去2戦での成長を見せるべく今回のラリーに挑んだ小暮/トピ・ルフティネン組は全ステージを走り切り、クラス10位でラリーを終えた。一方、大竹/マルコ・サルミネン組も安定した良いペースで走行を続け、終盤まで4番手争いに加わる健闘を見せたが、暗闇の中での降雪という難しいコンディションに見舞われた最終ステージで雪壁にスタックし、リタイアを余儀なくされている。

 チーフインストラクターとして大竹、小暮、山本を指導するミッコ・ヒルボネンは、雪上でのドライビング経験がほとんどなかった3選手が短い期間で素晴らしい成長を遂げたと振り返る。

「山本は今年のスノーラリーでたびたび良いスピードを見せていたが、今回はそれを最初から発揮できたのが良かった。クラス3位は素晴らしい結果だし、本人もホッとしていることだろう」

「大竹も良いドライビングで、序盤は山本に近いタイムで走行していた。残念な結末にはなってしまったが、彼のスピードを見ることができて満足しているよ」

「小暮は雪のコンディションに苦戦しながらも試行錯誤し、つねに向上していた。まだプッシュする自信があまりないなかでも、経験を得るために彼はスマートなドライビングをした」

小暮ひかる 2023ユバスキュラ・タルヴィ・ラリー
SM3クラス3位入賞を果たした山本雄紀/ミイカ・テイスコネン組のルノー・クリオ・ラリー4

■TGR WRCチャレンジ2期生コメント

●山本雄紀(ルノー・クリオ・ラリー4/クラス3位)
「今回は、クリーンな走りでつねに良いペースを保つことができました。やっと最後まで走ることができたので良かったです」
 
「すごい勢いで雪が降っていて、路面は柔らかい雪で覆われ、まったくクリーンなラインがありませんでした。適応するのが難しく、適切なペースがわからないという状況は、今回の新しい学びでした」

「3つのスノーラリーを通して、良い走行マイレージを得られましたし、結果としても徐々に良くなり、最終的に表彰台に立つことができました。たくさん成長できたと思うのでとてもうれしいです」

●小暮ひかる(ルノー・クリオ・ラリー4/クラス10位)
「スノーラリーでさらに経験が得られたことはうれしく思っていますが、スピードに関しては残念に感じています。今回は、多くのクレストや狭く凸凹な道など、これまでのスノーイベントのステージの特徴とはかなり違っていました。ペースノートやドライビングのフィーリングは悪くなかったのですが、期待していたようなペースになりませんでした」
 
「3回のスノーラリーへの参戦で多くのことを学び、たくさん改善することができたのは良かったです。次戦は舗装路でのラリーになるので、楽しみでもありますし、しっかり準備をしていきます」

●大竹直生(ルノー・クリオ・ラリー4/リタイア)
「最後のステージでのコースオフは残念でした。雪がたくさん降っていて前が見えにくく、コーナーが思っていたより少し早くきました。少しスピードが速すぎる状態でコーナーに入ってしまい、横に膨らんで雪壁にスタックしてしまいました」
 
「今回のラリーで、自分がどこでタイムを失っているかを理解することができ、改善のヒントをいくつか得ることができました。貴重な学びがあったので、全体的には良いラリーだったと思っています」

 TGR WRCチャレンジプログラムは、次戦からトレーニングの舞台を舗装路に移す。プログラム2期生の3名は、4月14日から15日にかけて開催されるイタリア・ラリー選手権の一戦『アルバ・ラリー』に参戦予定だ。

大竹直生/マルコ・サルミネン組(ルノー・クリオ・ラリー4)最終ステージで惜しくもリタイアとなった
大竹直生 2023ユバスキュラ・タルヴィ・ラリー

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