日本古来の細工技術で作られた繊細な秀作が来館者たちを魅了「岡山市の押し絵作家・平井絹惠さんの個展」/ 岡山県真庭市勝山

岡山市の押し絵作家・平井絹惠さんの個展「明治・大正・昭和の古布を使った押し絵・木目込みの雛人形展」が、真庭市勝山の勝山文化往来館ひしおで開かれ、日本古来の細工技術で作られた繊細な秀作が来館者たちを魅了している。12日まで。
押し絵は下絵や人形などに絹織物や和布の端切れを貼り合わせた作品で、綿をくるんだ布を付けて立体的に仕上げたものもある。古くは、中国から伝来し、平安時代には宮中の女官たちが遊びの一環として広め、江戸中期以降は庶民にも浸透。歌舞伎役者や浮世絵をモチーフにした羽子板が作られるようになった。
平井さんは結婚を機に押し絵作家で母親の福田絹美さんに師事し、本格的に活動を開始。同展では現在までの作品115点を展示している。作品には絹糸や金糸で仕立てられた約100年前の貴重な丸帯などを使用。ひな人形をはじめ、「源氏物語」の一場面や有名な屏風絵図を表現した意欲作が並ぶ。
総社市から訪れた深本晴美さん(67)は「時代を経ても色あせない布地の美しさと細やかな作りに見入ってしまう」と話していた。平井さんは「多くの人に押し絵のすばらしさを伝えたい。ぜひ作品にふれてみて」とPRしている。

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