成功作『リンク&コー03TCR』がフェイスリフト。今季より創設のTCRワールドツアーに先行投入へ

 今季2023年よりグローバルに展開される新生『TCRワールドツアー』への参戦登録を表明済みのリンク&コー・シアン・レーシングは、各シリーズでタイトルを獲得するなど成功を収めた『リンク&コー03TCR』の最新版を公開。親会社のジーリーグループ・モータースポーツ(吉利汽車)の支援を受けアップデートされた2023年モデルは、早くも今季よりTCRワールドツアーに先行投入され、未発表となっていた残り2台のシートにも、元WTCR覇者ヤン・エルラシェールとサンティアゴ・ウルティア続投がアナウンスされている。

 リンク&コー03TCRの初代モデルは2018年の後半にラウンチされ、WTCR世界ツーリングカー・カップの2019年シーズンよりデビュー。これにより北欧の実働部隊シアン・レーシングが走らせるリンク&コーは、FIA認可のチャンピオンシップに登場する最初の中国ブランドとなっていた。

 その初年度は、ツーリングカー界の“帝王”イヴァン・ミューラーがランキング3位を記録すると、ファミリーの後継者たる甥のエルラシェールが2020年、2021年とドライバーズチャンピオンシップ連覇を達成。そしてシアン・レーシングも3年連続でチームタイトルを獲得する戦果を残した。

 こうした実績も受け成功作となったリンク&コー03TCRは、TCRアジア(チームワーク・モータースポーツ)を皮切りに、TCRサウスアメリカ(PMOモータースポーツ)、そしてSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権(MA:GP)でも数多くの勝利を収めてきた。

 先週にも、その進化版公開に向けたティーザーを実施した新型TCRモデルは、昨年にも本国で導入されたマイナーチェンジ版をベースとし、量産車に合わせて前後のスタイリングを変更。フェイスリフトのリフレッシュのみに留まらず、2024年のHTCR(共通ハイブリッド機構)導入をにらみ、外板の下でも「多くの変更が加えられた」という。

3月に入り、新型TCRモデルのティーザーを公開していたジーリーグループ・モータースポーツ(吉利汽車)
今季2023年よりグローバルに展開される新生『TCRワールドツアー』に、まずは4台が投入される

■「世界タイトルを持ち帰る」と意気込む“エース”エルラシェール

「成功を収めたリンク&コー03TCRの新世代モデルを発表できたことを大変うれしく思っている。これはロードカーと同等の印象的な新しいエクステリアに対応した、競技用車両の慎重な進化だ。2023年以降には、またカスタマー向けに提供できることも楽しみにしている」と語るのは、吉利汽車グループのモータースポーツ部門責任者であるアレクサンダー・ムルドゼフスキー・シェドビン。

 そのリンク&コー・シアン・レーシングは、すでに発表済みだったテッド・ビョークとマ・キンファの残留に加え、エルラシェールとウルティアの続投も発表し、これでTCRワールドツアーの4台体制が確定。結果、キャリア終盤はお目付け役的なドライブながら、WTCRでも2回のランキングトップ3を記録したミューラーは、チームでの4年間の任務を終えることとなった。

「ヤンとサンティアゴは、間違いなく世界最高のツーリングカードライバーであり、彼らとの緊密で成功した協力関係を継続することを楽しみにしている」と、チームマネージャーを務めるフレデリック・ウォーレン。

「これまでで『最もタフなチャンピオンシップになるだろう』との前提条件で、最初のTCRワールドツアーシーズンに向け、強力なラインアップが組めた。プログラム成功の5年目を記念し、この新しいリンク&コー03TCRでこの旅に乗り出すことを誇りに思っている」

 同じく、名実ともにエースを襲名するエルラシェールは、WTCRで得た成功をさらに高い次元で再現したい、と新シーズンへの意気込みを語る。

「2回世界チャンピオンになり、人生で最も多くのレースを戦ったチームであるリンク&コー・シアン・レーシングで、こうして5年目を迎えることができてとてもうれしいよ」と続けたエルラシェール。

「このTCRワールドツアーは多くの新しい競技者やサーキットがあり、激しく挑戦的なものになるだろうが、それこそが僕らのここにいる目的だ。シーズンに向け自信を持っているし、目標は新しい世界タイトルを持ち帰ることだね」

ドライバーとしての役目を終えたツーリングカー界の“帝王”イヴァン・ミューラーを除き、4名が続投のかたちに
「戻ってくることができて光栄だ。僕らのパフォーマンスは高いし、1番上を目指す」とサンティアゴ・ウルティア

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