女子高校生の“二刀流” プロも驚く「総合旅行業務取扱管理者」に一発合格 先生も追い抜いた!

3日、卒業式を迎えた広島市立広島商業高等学校(愛称「市商」)。2年前に創立100年周年を迎えました。

卒業生221人の中に “二刀流” のスーパー高校生がいます。みらい商業科 観光コースで学んだ 森美菜 さんです。

市立広島商業高校 商業科 観光コース 3年 森美菜さん
「資格取得の勉強を通していろんなことを知ることもできましたし、結果的に就職にもつながっているので。これからこういう資格取得にどんどん挑戦したり、いろんなことに自分から興味を持って、やっていくっていうことが、3年間で身についたので」

大人顔負けの資格を取得! 18歳の素顔に迫ります。

卒業式を前に、森さんが所属したバレーボール部で3年生を送る会が開かれました。保護者も参加する楽しいひと時です。森さんは、どんな選手だったのでしょうか? 指導した先生に聞きました。

市立広島商業高校 バレーボール部顧問 坂根衣美 先生
「セッターとアタッカーの2つのポジション。前衛に行ったらアタッカーを、後衛に行ったらセッターで。ふつうは2つのポジションはできないんですけど」

森さんは、セッターとアタッカーという2つのポジションをこなした “二刀流” の選手だったのです。

バレーボールだけでなく、2年生のときには国体のビーチバレー県代表選考会にも出場しました。第3位の成績を残し、こちらでも “二刀流” の活躍でした。それだけではありません。

市立広島商業高校 バレーボール部 2年 角田楽 部長
「部活もエースとしてすごくチームの中で中心的な存在で、勉強面も学年トップを取ったり、すごくあこがれの先輩です」

なんとスポーツだけでなく、学業もトップクラスでまさに文武両道! “二刀流” の高校生活だったようです。

市立広島商業高校 担任 石岡拓也 先生
「代議員も2年間務めて、クラス委員のことですね。ふだんの授業もやるべきことはやる。課題もきっちりやると。やるべきことをきちんとできる生徒でした」

そんな森さん、電卓実務検定1級をはじめ、情報処理にビジネス文書実務、そして世界遺産検定など、高校3年間で取得した資格は10を超えるそうです。

森美菜 さん
「簿記の検定、情報処理の検定。自分は秘書コースじゃないんですけど、秘書コースの友だちもいて、その子が受けるというので一緒に秘書検定を受けたり、漢字検定を受けたりとか、いろんな資格に手を出しました」

広島県内の高校生で初めて合格した資格試験とは…

さらに森さんは、広島県内の高校生としては初めて「総合旅行業務取扱管理者」の試験にも合格しました。

市立広島商業高校 3年 森美菜 さん
「県内で初めてっていうのを知らなくて受けたので。ふつうに受かって、うれしいっていうのもありますし。初めてというのは、『なんかすごいな』って合格した後に思いました」

総合旅行業務取扱管理者とは、国内だけでなく、海外旅行の業務・旅行手配の管理・監督ができる資格です。国家試験で、去年の18歳以下の合格者の割合は全体のおよそ1%、わずか17人でした。高校生の資格取得には、旅行のプロも驚きを隠せません。

日本旅行業協会 中四国事務局 橋村秀樹 事務局長
「通常の旅行会社の社員でもすべて通るかといったらそうでもない。かなり科目ごとが広範囲になるので、どこを勉強したら、どれだけ勉強すれば、合格ラインの6割以上が取れるかを想像すると、かなり努力されたのではないかと思います」

森さんが学ぶ観光コースでは、2年生から1年半かけて「国内旅行業務取扱管理者」の試験に挑戦するそうです。

市立広島商業高校 進路指導部 神尾陽一 先生
「本来であれば、3年生で『国内旅行業務』を取るっていう目標だったんですけども、わたしが2年生でもったときに『せっかくならダメ元で2年生で受けてみよう』と声をかけたら、森さんが国内旅行の方を2年生で取ってしまった」

国内の資格を取った森さんは、“二刀流” を目指し、今度は海外旅行も扱える試験に挑戦します。

神尾陽一 先生
「『せっかくだから、わたしと一緒に海外の試験も受けないか』と言って…。2人で意気投合して問題集をやって…。この問題がどうかとか、逆に森さんから教わることも多くて、変な話、クラスメイトのような感じでしっかりがんばって検定に臨むことができました。そんな中で本当に森さんが合格してくれてよかったですね」
— 先生の方は?
「わたしはですね、また、ことし、がんばります」

3度目の挑戦だった先生を追い越して、1発合格してしまったのです。森さんの快挙にまわりの人たちの反応は…

市立広島商業高校 担任 石岡拓也 先生
「すごく難易度が高いとは聞いていたが。取るなら彼女だろうなと。そう思わせる生徒だったので」

市立広島商業高校 バレーボール部 3年 小川莉奈 元部長
「素直にすごいなって思って。自分は(勉強する姿を)見てないんですけど、たぶん、家でやっていたのかなって」

試験に向けた半年間、自宅で1日2~3時間の勉強を毎日、続けたそうです。

森美菜 さん
「部活は好きでやっていたので。勉強も自分が(資格を)取りたくて、やっていたので。楽しかったですし、たいへんな部分は、もちろん範囲が広いので、ちゃんとがんばってよかったなみたいな感じで。あまりたいへんって感じじゃなかった」

さぞかし勉強熱心な家庭環境なのかな?とたずねてみると…

森美菜 さん
「(勉強しなさいと)全然、言われたことはなくて。たぶん言われていたら、性格的にやりたくないってなるから逆によかったかなって思います。『自分のことは自分で考えて』って言われます」

大人顔負けの資格を取得した森さんですが、残念ながら第一志望の観光業には就職することができませんでした。

森美菜 さん
「あまり求人が来なかったので。2番目に行きたいところに行きます」

コロナ禍に加え、未成年である高校生に対して観光業からの求人は少ないそうで、地元の小売業に就職します。ただ、指導した神尾先生は、今回の資格は一般の企業でも役立つと言います。

市立広島商業高校 進路指導部 神尾陽一 先生
「小売業とか製造業でもいろんな国々とつながっているので。そういった国際的な感覚を身につけるうえでは、この検定資格はけっしてムダにはならないと思います」

勉強に部活、そして資格試験。思い出の詰まった学び舎を後にした森さん…

市立広島商業高校 3年 森美菜 さん
「まずは就職する企業さんでしっかりがんばって、それから先も自分の人生なので、ちゃんと自分でやりたいことを見つけて。見つけたときは、もう迷わずに進めるようにこれからもいろんなことに挑戦していきたいなって思います」

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