諫干開門調査を要請 農水省に佐賀の漁業者ら 副大臣「話し合いで解決を」

野中副大臣(左)に開門調査などを求める申し入れ書を手渡す平方さん=農水省

 国営諫早湾干拓事業を巡る請求異議訴訟で開門を求める漁業者側の上告を退けた最高裁決定を受け、原告の漁業者や弁護団などは7日、ノリ不作被害の救済措置や和解協議による開門調査の実施などを農林水産省に申し入れた。
 佐賀県の漁業者、平方宣清さんらが農水省を訪れ、野中厚副大臣に申し入れ書を手渡した。漁業者側は「本年度の有明海全域でのノリ大不作は赤潮の大規模な発生が主因」として、有明海特措法による救済措置を講じるよう要請。さらに赤潮頻発の根本的原因は諫早湾の潮受け堤防閉め切りにあるとし、和解協議で関係者の合意を実現し開門調査を実施するよう求めた。
 野中副大臣は「開門によらない基金による和解が最良」とした2017年の大臣談話を踏まえる形で「裁判ではなく話し合いで解決を図りたい」との立場を改めて示した。漁業者側は「有明海再生事業を二十数年やってきたが効果はない。やっていない再生事業は開門調査だけ」「根本的な解決に開門は避けて通れない」などと訴えたという。
 野村哲郎農相は同日の閣議後の会見で、漁業者の申し入れ内容に言及。ノリ不作の特措法適用について「漁業共済や積立ぷらすをまずは適用してはどうか」と否定的な考えを示した。
 一方、国は開門を命じた確定判決に従わないペナルティーとして漁業者側に制裁金約12億円を支払ってきたが、最高裁決定を受け今後、返還を求めるかどうかについて農相は「今のところどうするか決めていない。各省庁と協議して適切に対応する」と述べるにとどまった。

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