大谷石、幅広く売り上げ伸長 SNS活用し魅力発信 宇都宮の大谷石産業

工場内には出荷前の商品が所狭しと並ぶ=宇都宮市

 大谷石の採掘・加工・販売の大谷石産業(宇都宮市田野町、鈴木一矢(すずきかずや)社長)が販路拡大を進めている。交流サイト(SNS)を活用し、住宅の外壁や内装材からオリジナルコースターなど小物まで、幅広い製品で売り上げを伸ばしている。

 同社によると、大谷石は風合いや消臭効果などの観点から、10年ほど前から住宅のリビングといった内装材としても需要が高まっている。加えて、2019年に完成した国立競技場(東京都新宿区)といった著名な建物の一部にも採用されるなど、近年、魅力が再認識されている。

 同社は採掘から加工、販売まで自社で完結できる強みも生かし、全国の設計事務所やゼネコンから受注しているという。昨年オープンしたJR宇都宮駅東口の交流拠点施設ライトキューブ宇都宮の外壁にも使われている。

 新型コロナウイルス禍を受け、新たな営業活動として20年にSNSのインスタグラムを開設。施工事例や小物の商品の情報発信を強化したところ、新規顧客から商品に関する問い合わせがダイレクトに届くようになった。問い合わせ件数は開設時の2倍以上に上り、売り上げにも寄与している。

 加えて、オリジナルのプリントを施せるコースターは、県内で開催される全国規模の会議やセミナーで記念品としての需要が高く、月に平均千~2千個の注文があるという。22年12月期の売上高は前年同期に比べ約40%増加した。

 今後について、鈴木社長は「品質を追求していきながら、企業として宇都宮の伝統産業を継続していきたい」と話した。

© 株式会社下野新聞社