【国際女性デー】性暴力の被害に遭った相模原の女性教諭が語る「男性が怖くなった」

性暴力の無罪判決が相次いだことを受け、全国に広がった「フラワーデモ」。性暴力と無理解な社会への抗議が続いている=2019年12月、横浜市西区

 相模原市立共和中学校の元男性教諭(39)が同僚の女性教諭への強制わいせつ罪で有罪判決となった事件で、被害に遭った女性教諭が神奈川新聞社の取材に対して思いを語った。事件から2年。女性は性暴力の被害と闘い続けている。

 2023年2月21日、事件から2年となりました。普段からフラッシュバックに襲われたり、被害に遭う夢を見たりしますが、事件の日が近づくと症状はより一層悪化しました。

 事件の日の一つ一つの出来事が時間ごとに鮮明によみがえり「あの時、こうすればよかった」と後悔に襲われるのです。心が苦しくなり、1人でいると死んでしまいたいと思いました。

 あの日、加害者の提案で同僚たちと食事をすることになり、集まりました。食事会は終電に間に合う時間に終わりましたが、同僚たちと別れた後、加害者が「トイレを貸してほしい」と私の自宅マンションに来ました。

 すぐに帰ると思っていましたが、なかなか帰ってくれませんでした。加害者は10歳以上年上で職場の先輩でもあるので「帰ってほしい」と強く言えず、私がスマートフォンのアプリでタクシーを呼びました。

 タクシー到着後、帰宅を促すように一緒に外に出たところ、突然抱きつかれ、強引にキスされ、強い力で臀部(でんぶ)を触られました。必死に抵抗しましたが周囲に人はおらず、助けを呼ぶこともできませんでした。何とか相手を引き離し、自宅に逃げ帰りましたが、加害者が周辺をうろついているかもしれないと思うと怖くてたまらず、パートナーの家に身を寄せました。

 なぜ、警察に通報しなかったのかと言う方もいるかもしれません。でも、加害者は普段一緒に働いている先輩で、職場や他の先生たちに迷惑をかけてしまうかもしれないとその時は思い、できませんでした。

 翌日、校長先生と上司の学年主任に報告しました。「許せない」「あなたの味方だから」。2人の言葉に救われる思いでした。校長先生は「臨時保護者会を開き、説明をしなければいけないことになると思う」と話していたので、その後、同僚の先生や保護者、生徒たちに一切説明されないという状況になるなんて想像もしませんでした。

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