“子育て住宅整備断念” 本年度目玉事業、業者決まらず 県議会

 県は、空き公舎などを民間不動産業者に改修してもらい、子育て世帯に貸し出す「長崎よかにゃんハウス整備推進事業」を断念する。昨年6月の肉付け補正予算で、大石賢吾知事の人口減少対策の目玉として1億1900万円を計上したが、改修費が補助額を大幅に上回ることなどから、事業者が決まらなかった。
 本年度一般会計補正予算案に1億400万円の減額を盛り込んでおり、7日の県議会観光生活建設委員会で説明した。事業は2本立てで、もう一つの長崎の気候・風土にあった長崎型住宅の開発、ブランド化への支援(1500万円)は新年度も継続する。
 計画では、いずれも築50年を超える旧滑石県営住宅(長崎市)と県職員公舎(佐世保市)を活用。民間業者に一括で貸し出し、それぞれ16戸を子育て世帯のニーズに合わせて整備した上で相場より安く転貸してもらう予定だった。
 県住宅課によると、県内約60業者に事業を通知し、昨年7月から公募を2度実施。長崎は1社、佐世保は2社が参加意志を示したが、いずれも同10月が締め切りだった事業計画書を提出しなかった。
 県は改修費について、1戸当たり約300万円を補助予定だった。県の聞き取り調査では、業者は老朽化や資材高騰などの影響で改修費が補助額の1.5~2倍必要になることなどから計画提出を見送ったと説明。県所有物件のため資金調達の担保にできないことなども理由に挙げた。
 小林克敏委員(自民・県民会議)は「ずさんな計画だったのでは」と指摘。奥田秀樹土木部長は「老朽ストックを長持ちさせるべきか、どこまでお金を入れるかを併せて考えた。ずさんと言われれば、力不足だが頭を下げてでも断念すべきと判断した」と述べた。
 県は事業を民間社宅に広げる予定だったが白紙に戻す。

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