人生のターニングポイントを迎えた中年男が踏み出す新たな一歩 光石研主演 「逃げきれた夢」公開決定

光石研主演の映画「逃げきれた夢」が、2023年6月9日より劇場公開されることが決まった。

「逃げきれた夢」は、人生のターニングポイントを迎えた中年男が新たな一歩を踏み出すまでを描いた作品。北九州で定時制高校の教頭を務める末永周平。ある日、元教え子の南が働く定食屋で、周平は支払いをせず無言で立ち去ってしまう。記憶が薄れていく症状によって、これまでのように生きられなくなってしまった末永。妻の彰子との仲は冷え切り、一人娘の由真は父親よりスマホ相手の方が楽しそうだ。旧友の石田との時間も、ちっとも大切にしていない。周平は、「これから」のために、「これまで」を見つめ直していく。

主演は、映画デビューから45年にわたり、日本の映画・ドラマ界で活躍してきた光石研。「あぜ道のダンディ」から12年ぶりの映画単独主演作となる。光石本人の人生のエッセンスを注入したという物語を、生まれ故郷で青春時代を過ごした福岡県北九州市のオールロケで撮影された。物語のカギを握る周平の元教え子・平賀南には、光石研と同じく北九州出身の吉本実憂がオーディションで選ばれた。主人公の妻を坂井真紀、娘を工藤遥、旧友役を光石研本人とも気心の知れた松重豊が務める。

監督・脚本は、二ノ宮隆太郎。瀬々敬久監督が審査員を務めた2019年フィルメックス新人監督賞のグランプリ受賞作である脚本をもとに、二ノ宮監督自らがメガホンを取り、商業映画デビューを飾った。

光石研らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■光石研/末永周平役
自分自身の故郷で、ほぼ等身大の自分自身を演じる。ここまでボーダレスな役は初めてだったので、不安と戸惑いを持って、やっていました。
ただ、二ノ宮監督を初めスタッフの皆さんが、僕ら世代が抱える諸々の憂いを、しっかりリサーチし、ビジョンを持って導いて頂いたので、信じてついて行きました。
可笑しくも哀しい老年期に差し掛かった男を、失笑してやってください。

■吉本実憂/主人公の元教え子・平賀南役
脚本を読ませて頂いて、決して何か大きなハプニングがあるわけではなく誰しもが通るであろう日常の感情なのですが最後には涙が出ていました。
些細なことでも”今”が点で繋がりあって線になって1人の人生を作り上げているということを私はこの作品を通して学びました。
”今”という瞬間の大切さを感じられる作品なのではないかなと思います。

■工藤遥/主人公の娘・末永由真役
二ノ宮監督の真っ直ぐな曇りのない目に「誤魔化せないな」と震え、光石さんの凄まじい包容力に身を委ね、貴重な時間を北九州市で過ごさせて頂きました。
台本を読んだ後、演じている時、完成した映画を見た後、置かれている状況によってここまで受け取り方が変わるのかと、落ち着かなかった記憶があります。沢山の方に届きますように。

■坂井真紀/主人公の妻・末永彰子役
脚本を読ませていただいた時、行間から人生の吐息が聞こえてくるようだと感じました。その吐息は、光石さん演じる周平が背負う哀愁となって、その哀愁は、様々な形に映り、私たちが分かち合えるものであると思いました。分かち合えることは、そっと、私たちの背中を押してくれることと、思っています。北九州の空気を纏い佇む光石さん、最高です。

■松重豊/主人公の親友・石田啓司役
小倉の撮影現場の控え室の隣にカフェがあり、空き時間にふたりで行ったらチーズケーキが非常に美味かったんです。
それを全女性スタッフに持ち帰って振る舞う光石さん。

その控え室の向かいが古着屋で、覗くと店主が光石研コーデを準備して待っていたんです。
さんざん試着して何も買わずに店をあとにする光石さん。

そんな光石さんのすべてが詰まった映画ですよ、きっと。

■二ノ宮隆太郎監督
映画の世界を志してから、好きな俳優という質問に、必ず光石研さんと答えていました。
ものすごく人間だから、光石研さんが好きだと答えていました。
この映画は、ある人間の今までの人生と、これからの人生の物語です。
観てくださった方の心に、ほんの少しでも、なにかを感じていただけましたら幸いです。

【作品情報】
逃げきれた夢
2023年6月9日(金)より新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
©2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ

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