埼玉2校目の「義務教育学校」誕生へ 再編の2校「閉校式」でなく「校旗返納式」 生徒ら“7年生”楽しみ

中学校の校旗を持つ秋馬信之校長(左から2人目)=7日午後、日高市立武蔵台中学校

 埼玉県日高市で4月から、9年間にわたる小・中学校教育を一貫して行う施設一体型の「義務教育学校」が設置される。県内の義務教育学校としては、春日部市の江戸川小中学校に次いで2校目。市は2023年度の「武蔵台小中学校」(同市武蔵台)開校を皮切りに、25年までに3校を設置する予定で、少子化や施設の老朽化を背景とした学校教育再編の一環として、指導の質向上や活動の円滑化を図る。市では19年から市内全6地区に「学校運営協議会制度」を導入、コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育による「開かれた学校」づくりを検討してきた。

 武蔵台小中学校は、現在の武蔵台小学校と武蔵台中学校を統合することで設置し、施設は現・武蔵台小学校を改修利用する。計画では、武蔵台と並んで児童生徒数の減少が顕著な高根、高麗地区にも、それぞれ地区内の小中学校施設を統合した「高根小中学校」(24年度開校)と「高麗小中学校」(25年度開校)が設置される予定だ。

■思い出を胸に新生活へ

 武蔵台小学校と武蔵台中学校は7日、統合後は使われなくなる中学校の体育館で校旗返納式を実施した。式典の前に、小学生たちが中学校の校舎を見学。楽しそうな声を上げながら、最初で最後となる中学校の校舎を見て回った。

 同式典は、「閉校」ではなく「小中合併」であるという児童生徒や保護者の感覚から、「閉校式」ではなく「校旗返納式」として開催。校旗はそれぞれの校長の手から市長へ手渡された。

 谷ケ崎照雄市長は、「皆さんにはたくさんの可能性があります。夢と希望を実現させる新たな学校でこれから育っていってほしい。今後も市で大切に保管します」と校旗を受け取った。

 小学校の児童代表6人はそれぞれの思い出を振り返りながら、「中学生になることが楽しみだった。今は“7年生”になることがもっと楽しみ」と笑顔。中学校の生徒代表の箱崎実桜さんは、「34年続いた台中の伝統を私たちでつないでいきたい。そして新しい学校で日々を楽しく過ごせるよう頑張りましょう」と会場を見渡した。

 最後に小学校の在校生が作詞した曲、「ずっとおなじ」を合唱し、式典を終えた。

 4月10日の武蔵台小中学校開校式では、現・武蔵台中学校3年生の茂木真尋さんがデザインした新しい校旗が使われる。

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