新ルール導入でオープン戦の盗塁企図数が増加、盗塁成功率もアップ

今季から様々な新ルールが導入されるメジャーリーグ。ピッチクロックの導入により、オープン戦の平均試合時間は大幅に短縮されているが、他にも狙い通りの効果が得られている。ベースサイズの拡大と投手の牽制回数の制限による「盗塁企図数の増加」と「盗塁成功率の上昇」だ。メジャーリーグ公式サイトのデービッド・アドラー記者の調査によると、オープン戦の完全な記録が残っている2006年以降の期間において、今年の1試合あたりの盗塁企図数(2.30)は最多。盗塁成功率(80.8%)も最高だという。

比較対象として昨年のデータを示すと、1試合あたりの盗塁企図数は1.53、盗塁成功率は73.2%だった。また、昨年はオープン戦268試合で合計300盗塁が記録されたが、今年のオープン戦は170試合を消化した時点で、すでに316盗塁が記録されており、100試合近く少ないにもかかわらず、昨年の数字をすでに上回っている。

強力打線が売りのブルージェイズのようなチームでさえ、今季は積極的に走っていくつもりであることを強調している。ジョン・シュナイダー監督は「マット・チャップマンやドールトン・バーショのような選手は盗塁を増やすことができると思う。ブラディミール・ゲレーロJr.でさえ、昨季8盗塁を記録しているんだからね」とコメント。盗塁できるスピードを持ちながらもあまり積極的に走ってこなかった選手たちが盗塁を増やせば、得点するチャンスはさらに増えるはずだ。

守備面では捕手からの牽制が重要になるとみられている。ウィルソン・コントレラス(カージナルス)は「各チームは新ルールを利用して走ってくるだろう。捕手が走者に目を配ることや捕手からの牽制が重要になる」とコメント。ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督も「走者を塁に近づけておくために捕手からの牽制が重要だ。走者をコントロールできる数少ない方法の1つだからね」と話している。

新ルールがテストされたマイナーリーグでは、2019年から2022年にかけて、1試合あたりの盗塁企図数が2.23から2.81に増加し、盗塁成功率も68%から78%に上昇した。よって、メジャーでもオープン戦の傾向がそのままレギュラーシーズンでも続く可能性が高い。1試合あたりの盗塁企図数が2.30というのは、リッキー・ヘンダーソンらが活躍した1980年代の数字に近く、今季は盗塁が「復権」するシーズンとなるかもしれない。

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