北陸信越地方のバスとタクシーの輸送状況、旅行支援の効果で前年同月上回る

乗合バスの輸送人員と運送収入(北陸信越運輸局の報道資料より)

北陸信越運輸局は9日の記者懇談会で、管内(新潟県、長野県、富山県、石川県)のバスとタクシーの運輸状況について発表した。発表によると、2022年10月から12月と2023年1月に実施された全国旅行支援の効果により、感染症禍で過去最大の回復が見られた。

乗合バス(一般路線)の輸送人員と運送収入は、例年と同程度に年末年始の需要の減少傾向が見られ、旅行支援の効果が現れた10月をピークに減少する結果となった。一方で、管内4県とも輸送人員と運送収入で前年同月を上回る結果となった。

感染症禍前の2019年同月比で見た場合、管内4県合計の輸送人員は、10月が86%(前年同月は78%)、11月が83%(同79%)、12月が84%(同80%)、1月が78%(同75%)。運送収入は、10月が94%(同83%)、11月が86%(同80%)、12月が87%(同81%)、1月が82%(同76%)。

県外高速バスの運行状況(北陸信越運輸局の報道資料より)

県外へ向かう高速バスの運行便数は、管内4県合計で511便となり、感染症禍直後の2020年3月末と比較して67%まで回復した。特に、名古屋方面行きの路線は119便と2020年3月末比80%ほどとなった。

一方で、新潟から県外へ向かう高速バスの運航割合は、2020年3月末比で47.0%にとどまるなど、ほか管内県と比べての低い状況にある。これについて竹村康仁自動車交通部長は「例えば大阪便で言うと、ピーチ・アビエーションの大阪便が新潟空港に就航したことなどがあり、バス事業者はそうした他の交通手段の状況を見つつ便数を戻す時期を伺っている」状況にあると話した。

貸切バスの輸送人員と運送収入は、管内4県とも前年同月を上回る実績となった。感染症禍前の2019年同月比で見た場合、12月には80%ほどの回復がみられたが、1月には70%程度にとどまった。

感染症禍前の2019年同月比の管内4県合計の輸送人員は、11月が61%(前年同月は56%)、12月が72%(同66%)、1月が70%(同54%)。運送収入は、11月が65%(同53%)、12月が79%(同66%)、1月が69%(同56%)。

貸切バスの輸送人員と運送収入(北陸信越運輸局の報道資料より)

タクシーの輸送人員と運送収入(北陸信越運輸局の報道資料より)

法人タクシーは、輸送人員と運送収入ともに感染症禍前の70%程度で足踏みしている。一方で、運転者不足による需要の取りこぼしを懸念する声も聞こえているという。

感染症禍前の2019年同月比の管内4県合計の輸送人員は、11月が72%(前年同月は69%)、12月が74%(同75%)、1月が67%(同58%)。運送収入は、11月が76%(同72%)、12月が77%(同77%)、1月が72%(同60%)。

個人タクシーにおいては、2022年11月から2023年1月にかけて、7者が廃業している状況にある。

北陸信越運輸局の平井隆志局長は「順調に回復しているが、感染症禍によって生活様式が変わっているので、前のように戻るのは難しいと思っている。そのなかで、公共交通である交通機関の需要の確保はしていかなくてはいけない。その大切さを県民に伝え、守っていく取り組みをしていきたい。また、例えばタクシーは交通弱者の人が使いやすいサービスとして提供するなど、新しい考え方を提供することで『共に勝つ』ような取り組みを進める必要がある」と語った。

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