利用客のマスク緩和、基本求めず バスや電車など 運転士などスタッフは慎重

マスク着用の新指針

 新型コロナウイルスの感染対策として定着しているマスクの着用について、政府は13日から「個人の判断に委ねる」と緩和策を示している。県内の公共交通機関や商業施設は原則、政府方針に従い利用者に着用を求めない考えだ。ただ感染への懸念からスタッフには引き続き着用を求める業種もある。

■ 公共交通 
 バスや電車、飛行機などの公共交通機関はこれまで着用を要請してきた。政府方針を受け、多くの業界団体が乗客の着用は「個人の判断」とするガイドラインを作成。各社は従うもようだ。
 懸念もある。政府は通勤ラッシュ時などに電車やバスに乗車する際は着用を推奨。長崎自動車(長崎バス、長崎市)は混雑時などは車内の電光掲示板に「着用推奨」のテロップを流す予定。ただ着用しない客へのクレームや「混雑時」の解釈が分かれることも想定される。
 運転士の着用についてはJR九州や長崎電気軌道(長崎市)、松浦鉄道(MR、佐世保市)、長崎バスなど多くの事業者が続ける。長崎バスは「運転士の感染は運行に影響する。引き続き慎重な対応が必要」としている。
 全日空など大手を中心に19社が加盟する定期航空協会(東京)は政府方針に沿ったガイドラインを作成。オリエンタルエアブリッジ(ORC、大村市)も同様の対応だ。九州商船(長崎市)は、乗客は個人の判断とし、スタッフは着用を続ける。

■ 行政機関 
 県は来庁者の着用について個人の判断を尊重する。職員にも原則、「着用の必要はない」と通知した。ただ、政府が高齢者施設を訪問する際の着用を推奨していることなどを踏まえ、場面によって柔軟に対応していくという。長崎市や佐世保市も同様の対応を検討。長崎市の担当者は「基本的には国の方針に沿う。リスクが高い方への対応など細かい部分について協議中」と話す。県警も原則、職員、来庁者ともに個人の判断に委ねる。

■ 商業施設 
 商店などは客には着用を求めないものの「スタッフの着用は続ける」という方針が目立つ。浜市商店連合会(長崎市)の吉村史郎事務局長は「不特定多数の方と接するので怖いという声がある」。同市のゆめタウン夢彩都は13日からは「お客さまの判断に任せる」が、直営店の従業員の着用は継続。テナントの店舗にもお願いする方針。させぼ四ケ町商店街の川尻章稔理事長は「マスクを外してお互いの顔が見えるのはいいこと。ただ『マスクをしないとお客さまに失礼』という風潮にならないか心配な面もある」。

 学校の教育活動について文部科学省は4月1日以降、基本的にマスク着用を求めないとする通知を出している。


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