『牧野富太郎の植物学』が発売!「日本の植物学の父」と称される牧野富太郎博士、その研究者としての業績に焦点を当てる

“朝ドラ”『らんまん』のモデルとして注目を集める牧野富太郎博士。このたび発売の『牧野富太郎の植物学』(NHK出版、2023年3月10日刊)は、牧野博士が専門とした学問分野や研究者としての業績、その業績が現在に与えた影響などを明らかにし、はじめて植物学に触れる人にもわかりやすく紹介した一冊。 博士と同じ植物学分類学者である著者・田中伸幸は、高知県立牧野植物園に勤務した経験をもち、連続テレビ小説『らんまん』では植物監修者としても活躍している。4月3日放送スタートのドラマに向けて、俳優・神木隆之介が演じる「天才植物学者・牧野富太郎」について学んでみてはいかがだろうか。 『牧野日本植物図鑑』や、牧野博士を主人公とする伝記や小説を読んだことがある人は多いのではないだろうか。小学校を自主退学し、独学で植物分類学を修め、命名した植物は1,500種、生涯集めた標本は40万点とも言われている。しかし、こうしたエピソードや数字が果たしてどのような意味を持っているのか、はたまた真実なのかということについては、これまで十分に語られてこなかった。 本書は、植物分類学者としての博士の活動・業績を理解するため、植物学と植物分類学の違いについて解説するところからスタート。続いて、学名の仕組みや植物分類学の原点となる標本採集の意義、日本人による成果発表の場として創刊され、博士の初めての論文が掲載された『植物学雑誌』について説明する。また、著者独自の調査により明らかになった、博士の付けた学名の実数や標本数、業績のひとつに挙げられる植物図に対するこだわりなどについても解説。さらに、後半生における研究活動から植物知識の啓蒙・教育活動へのシフトや、博士が集めた標本の行方などについても言及する。 「植物を学んだというより遊んだ」と自身について語る牧野博士。本書は、植物研究と多くの植物愛好家を育てるために奮闘した“植物オタク”の人生の実像と、その業績のすべてを明らかにする。牧野博士の人柄が垣間見えるエピソードや、植物学にまつわるコラムなどを交えて、植物学の「奥深さ」そして「面白さ」をも伝える充実の内容だ。

【著者プロフィール】

田中 伸幸(たなか・のぶゆき)

1971年、東京都生まれ。国立科学博物館植物研究部陸上植物研究グループ長。東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は植物分類学。高知県立牧野植物園研究員、同標本室長、高知大学客員准教授などを経て、2015年4月より国立科学博物館勤務。茨城大学大学院農学研究科客員教授兼任。

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