西加奈子による初のノンフィクション『くもをさがす』が2023年4月19日、株式会社河出書房新社より刊行される。
『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から寛解までの約8カ月間を克明に描いたノンフィクション作品。 カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間──。切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けてつづられた、誰もが心を揺さぶられる傑作だ。
『くもをさがす』へ寄せられた声
思い通りにならないことと、幸せでいることは同時に成り立つと改めて教わったよう。
──ジェーン・スー(コラムニスト)
読みながらずっと泣きそうで、でも一滴も泣かなかった。そこにはあまりにもまっすぐな精神と肉体と視線があって、私はその神々しさにただ圧倒され続けていた。
西さんの生きる世界に生きているだけで、彼女と出会う前から、私はずっと救われていたに違いない。
──金原ひとみ(作家)
剥き出しなのにつややかで、奪われているわけじゃなくて与えられているものを知らせてくれて、眩しかったです。関西弁のカナダ人たちも最高でした。
──ヒコロヒー(お笑い芸人)
読み終わり、静かに本を閉じても心がわさわさと迷う。
がんの闘病記という枠にはとてもおさまらず、目指す先はまったく別にあることに気づかされた一冊。幸せいっぱいのときに、それを失う恐怖心が同時に存在するパラドックスに気づくと、上手くいったとしてもイマイチでも、自分なりに納得できる瞬間の積み重ねが人生なのだとあらためて知る。
──高尾美穂(産婦人科医)
ノンフィクションやエッセイという言葉を遥かに超えた、生きている文学。
終わった過去ではなく、先の未来へと続いている。
──宗岡敦子(紀伊國屋書店福岡本店)
コロナ禍と戦争とネットの暴力によって人間同士の関係がズタズタにされ、「愛」や「絆」という言葉に欺瞞しか感じられなくなった今、この本はそうした言葉に本来の意味を取り戻す力を持っている。
──日野剛広(ときわ書房 志津ステーションビル店)
西加奈子さんの投げた光の粒のような想いは波紋のように広がっていくに違いない。
──石坂華月(未来屋書店大日店)
読んでいるだけなのにこんなに私のことを丸裸にしてしまう文章を書く西さんにとてつもなく尊敬の念を抱く。
──吉井めぐみ(宮脇書店 ゆめモール下関店)
この他にも全国の書店員からたくさんの感想、メッセージが寄せられている。詳細は『くもをさがす』特設サイトをご覧いただきたい。
▲著者メッセージ
【著者紹介】
西加奈子(にし・かなこ)
1977年、テヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪で育つ。2004年に『あおい』でデビュー。2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。15年に『サラバ!』で直木賞を受賞。ほか著作に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『i』『おまじない』『夜が明ける』など。2019年12月から語学留学のため、家族と猫と共にカナダに滞在。現在は東京在住。