新時代“Gen3”開幕直前にホモロゲーション登録完了。シボレー・カマロZL1の空力を微調整か/RSC

 2月22日にシドニー・モータースポーツパークで公式テストを実施し、いよいよ新車両規定“Gen3”導入で新時代の幕開けを迎えるRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ。北米のNASCAR同様『シボレー・カマロZL1スーパーカー』と第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』の“ポニーカー直接対決”を前に、シリーズは「新型車両の最終ホモロゲーション・プロセスが完了した」ことを発表した。細部は未公表ながら急きょ加されたストレート・ライン・テストを経て、シボレー陣営に空力性能の微調整が施された模様だ。

 3月10~12日の開幕戦『ニューカッスル500』に先立ち、先月下旬に実施されたシリーズ公式テストでは、新型シボレー・カマロZL1スーパーカーをドライブするアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング)が最速タイムを記録し、トップ10のうち実に8台がカマロZL1という一方的な展開となった。

 スーパーカーの運営組織は、本来なら2022年に導入を計画していたGen3規定モデルに関し、滑走路やイベント開催トラックを活用して入念なテストを実施。車両制御と空力性能の確認に、述べ1万km以上のマイレージを稼いできた。

 しかし昨年来実施されてきたテストの裏で、北米フォード本社より「カマロとの性能均衡に関する懸念事項」が表明されるなど、パフォーマンスの同等性に疑問が呈されるとともに、最初にして最後の合同テストで上位を占拠したシボレー陣営からは「解せない部分がある」「パフォーマンスそのものを隠している……という疑念を抱かざるを得ない」との声も挙がるなど、ホモロゲーション登録を前にして、いわゆる“三味線”疑惑が持ち上がった。

 こうした懸念の声を払拭するべく、追加のストレート・ライン・テストを実施する意向を示していたスーパーカーは、シドニーのテスト後に同じニューサウスウェールズ州にあるテモラ空港にて、車両制御空力試験(VCAT)の追加ラウンドを実施。最終的にエンジンのマッピング等に変更があったかなど詳細は明かされなかったものの、新型シボレー・カマロZL1スーパーカーのフロントエンドを改良し、ダウンフォースを増加させる(=ドラッグも増大する)対策が採られたようだ。

華々しいシリーズ公式ラウンチを経て、2月22日にはシドニーで公式テストを実施していた
新型『シボレー・カマロZL1スーパーカー』(上)のフロントエンドを改良し、ダウンフォースを増加させる(=ドラッグも増大する)対策が採られたようだ

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「チャンピオンシップのインテグリティ(清廉さ、健全さ)を維持する一環として、すべての関係者は引き続き協力し、新型車両の各データと相対的なパフォーマンスを確認した」と説明するのは、スーパーカーのシリーズCEOを務めるシェーン・ハワード。

「これは、過去20年以上にわたって実施されてきた等価性評価システムに該当する、このカテゴリーの継続的な成功の前提条件だ。ホモロゲーション登録担当チームやメーカー代表者、そしてスーパーカーが協力してこの目標を達成した結果、先週のVCAT検証テスト中に両ブランドで2200km以上の走行が実施された」

「テモラのテストはすべての関係者に高いレベルの自信をもたらした。そして今週末、完全にリセットされ、ふたたびエネルギーを与えられたチャンピオンシップとともに、開幕戦『ニューカッスル500』が開催されるのを楽しみにしている」

 フォード陣営のホモロゲ登録チーム、ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)にてGen3マスタングのチーフデザイナーを担当したペリー・カッパーは、テモラのテストが「フォードを軌道に乗せる立場に置くと確信している」と、その成果を語った。

「Gen3開発プロセスへのコミットメントと努力に対し、スーパーカーと関係者全員に感謝したい」と続けたカッパー。

「我々としても、引き続き追加検証のために年間を通じてスーパーカーと協力し続けるつもりだ。先週の空力テストで行われた調整により、ライトが消える前にマスタングで戦う準備ができ、最初のイベントに行くことができるという自信が得られた。これでようやく、スーパーカーの歴史におけるこの新しい章に際し、グリッドに並べて回転数が上がるのを聞くことができるよ」

 一方、シボレー陣営のファクトリー指定チーム、トリプルエイト・レースエンジニアリングのテクニカルディレクターであるジェロミー・ムーアは、同じくカマロZL1も「レースを開始する準備はできている」と応じた。

「テモラでのVCAT検証全体を通して、各社のホモロゲーション・チームとスーパーカーのスタッフは、共通の目標を達成するためにオープンで協力的な方法を採用した。そこでの物事は非常にうまく協調したと思う」とムーアは続ける。

「70回以上の走行を繰り返した4日間を通して、測定されたダウンフォースとドラッグ係数により、同等のクルマを走らせることができたと確信している。さあ、レースに出掛ける時間だ。最高のチームが勝つことを願っている」

参戦2年目を迎えるPremiAir Racingも、ブラック&ホワイトの新カラーを披露。高性能な日本車なども扱う自動車小売企業の支援を得てNulon Racingの名称でエントリーする
開幕戦『Newcastle 500』の市街地戦では、土日ともスプリントの2レースが予定されている

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