ブリヂストンのMS活動計画発表会に佐藤琢磨が登場。「あのチームの、あのクルマに乗るのが楽しみ」とテキサス戦に期待

 今年でモータースポーツ活動60周年となるブリヂストンが、富士スピードウェイホテルにおいて、2023年モータースポーツ活動計画発表会を行った。

 4輪、2輪の垣根を越えてモータースポーツ活動を続けてきたブリヂストン。所縁のある関係者も招かれて場内は賑わった。新型コロナ感染対策をしながらも、このように多くの関係者が一堂に会すのは久しぶりのことだ。

 冒頭にブリヂストンの石橋秀一取締役・代表執行役 Global CEOが壇上に立ち、ここまでのブリヂストンのモータースポーツの栄光の数々を振り返りながら、カーボンニュートラルの次世代を睨んだサステナビリティの取り組みなども紹介。今後もモータースポーツに深く関わっていくブリヂストンの展望を語った。

 その後、2023年の参加カテゴリーとチームなどの紹介があり、星野一義・インパル総監督、佐藤琢磨、Toyota Gazoo Racingの佐々木雅弘が壇上に上がってトークタイム。
 

ブリヂストンとの思い出を語る佐々木雅弘、佐藤琢磨、星野一義総監督

 
 星野総監督は「僕は浮気はしない(笑)。ずっとブリヂストンと戦ってきた。時にはエンジニアと喧嘩したこともあったけど、それは真剣勝負で勝ちたかったから。これでいいよ、なんて妥協はなんかしなかった」

「苦しい時もあったけど、ずっとやって来て間違っていなかったと、自信を持って言える。そしてブリヂストンがF1に行って走っているのを見た時は本当に感動した」とブリヂストンと共に戦ってきた自負が滲む。

 また佐々木雅弘は「僕はAE86/BRZのレースに出ていて市販タイヤの開発もしていますが、一般のユーザーに買って使ってもらえるタイヤを、より良いものにしていきたい。昨年より今年がのタイヤが、今年より来年のタイヤがさらに良くなるようにレースを通じて開発しています」と市販タイヤがいかにレースから開発されていくかを説明した。

 またインディカー開幕戦セント・ピータースバーグでチップ・ガナッシ・レーシングに合流し現地でレースを見終えた琢磨は、大急ぎで帰国し、この発表会に馳せ参じた。

 琢磨はまず昨年を回顧して「22年は予選でフロントロウに並ぶ以外に成績らしいものは残らなかったけども、うまくいかないなりに、どうして遅いんだろう? 何が足りないんだろう?と自分のモチベーションを確認できたように思います。それが今年に繋がった」と言う。

 またブリヂストンとの思い出について「2001年にマールボロ・マスターズでブリヂストンのワッペンを貼って、ポール・トゥ・ウインで勝てたこと。日本人ドライバーとして、日本のタイヤと日本のエンジンで、F3世界戦に勝った。日本人として本当に誇らしかったです」

「その後、F1やインディカーでもブリヂストン、ファイアストンでレースを続けてきて、F1では勝てなかったけど亜久里さんと一緒に良いレースもできたし、インディ500にも2度勝つことができた。本当にうれしかった」と回顧する。
 

交流会で星野総監督と談笑する佐藤琢磨

 
 そして、今年共に戦うことになったチップ・ガナッシのレースを開幕戦で見た印象を語る。

「すべてのことが揃っていて一枚も二枚も上手だった。僕がアンドレッティ(オートスポート)にいた時よりも上だと思います。同じマシンを使うインディカーだけど、まだ開発を進める余地はあって、ガナッシは先を行っていたし、足りないものはなかった」

「11号車はルーキーのマーカス・アームストロングだけど、そのオペレーションだけを見ても、無線を聞いていても、十分に納得のできる仕事の仕方でした」とピットボックスからの印象を語る。

 そして第2戦テキサスは琢磨自身の2023年シーズン初レースとなる。

「いきなりレースウイークだから不安がまったくないわけではないけれど、シミュレーターに乗って行きますし、あのチームの、あのクルマに乗れるんですから、楽しみですよ。5月に向けて前進していけるようなレースにしたいです」と琢磨。

 琢磨は週明けには、再びアメリカに戻り、4月1、2日の第2戦テキサスに備える。チップ・ガナッシと琢磨がどんな化学反応を起こすか楽しみだ。
 

チップ・ガナッシ・レーシングへの期待を語る佐藤琢磨

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