累計33万5283人がコロナ感染 長崎県内初確認から3年 第7、8波で医療崩壊危機に

感染がピークとなった盆明け。長崎みなとメディカルセンターが開設したドライブスルー抗原検査センターには長蛇の列ができた=2022年8月18日、長崎市

 新型コロナウイルスの感染者が長崎県内で初めて確認されて14日で丸3年になる。この1年は感染力が強い変異株「オミクロン株」の影響で感染者が爆発的に増加。一方で行動制限を求めず共生していく「ウィズコロナ」への転換が進んだ。5月8日からは感染症法上の取り扱いが5類に引き下げられる。
 県内の累計感染者数は33万5283人(10日公表時点)。昨年3月から1年間で全体の9割を占める約30万8千人が感染した。
 昨冬、流行第6波を引き起こしたオミクロン株。夏にはさらに感染力が強い派生型「BA・5」への置き換わりが進み、第7波が起きた。8月19日には過去最多の4610人の感染が公表され、8月の感染者は8万人台に達した。
 感染者増で医療は崩壊の危機に。感染疑いがある患者を受け入れる診療・検査医療機関をはじめ、検査機関などにも不安を抱えた人が殺到。医療従事者にも感染が広がり、一般診療や救命救急などにも重大な影響が出た。
 ただ、昨年3月の「まん延防止等重点措置」解除以降、行動制限を伴う措置は講じられなかった。ワクチン接種や治療薬の開発が進み、重症化率は低下。国は「ウィズコロナ」に政策を転換した。9月には全数把握が簡略化され、保健所への届け出は重症化リスクが高い人に限定された。
 ただ、11月に入ると再び感染が拡大し、第8波が起きた。年明けには病床使用率が50%を超え、県は「医療ひっ迫警報」を出した。今年1月の死者数は月別で最多の150人台だった。
 感染は現在落ち着いた状態で県の感染レベルは最も低い「1」。病床使用率は9日午後7時時点で5%台。5月8日には季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる。
 コロナ禍前の日常に近づくことへの期待の一方、医療関係者からは「制度が変わるだけでウイルスが変わるわけではない。混乱が起きないよう一刻も早く、感染者が医療にアクセスできる体制づくりなどを進めるべき」などの声も聞かれる。


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