花粉症の人、リンゴやモモでアレルギー反応の可能性 専門医がメカニズムや予防法を解説

原因となる花粉(季節)と症状が出る場合がある主な食物

 今年も花粉シーズンが到来した。リンゴやモモなど特定の食物を食べた時に、唇や口の中が腫れたり、かゆくなったりする人はいないだろうか。そういった症状のある人は花粉症に関係した「口腔アレルギー症候群」の可能性がある。アナフィラキシー(重いアレルギー反応)を起こし、最悪の場合、命に関わる場合もあるので注意が必要だ。福井大学区医学部耳鼻咽喉科の藤枝重治教授にメカニズムや予防法を聞いた。

 花粉症は、花粉を異物と認識して排除しようとする免疫反応。体内に花粉が侵入するとIgE抗体が作られる。花粉のアレルゲンと反応すると、鼻粘膜の細胞から化学伝達物のヒスタミンが放出され、くしゃみや鼻水、かゆみなどを引き起こす。

⇒花粉症の症状悪化の一因は鼻の中の鉛

 花粉のアレルゲンと、果物などに含まれるアレルゲンは構造が似ている。そのため、特定の果物や野菜を食べた時に、花粉によって作られたIgE抗体が、果物などのアレルゲンと反応し、アレルギー症状を発症する場合がある。花粉症患者の20~25%が患っているとされるシラカンバやハンノキ花粉症の場合、リンゴやモモ、サクランボなどに含まれるアレルゲンに反応することがある。原因となる花粉によって反応する食物は変わる。

 リンゴやモモのアレルゲンは熱や唾液で分解されやすく、通常はそのまま食べても口の中の症状だけで治まる。一方で「シラカンバやハンノキの花粉症患者が豆乳を一気に飲むのはダメ」と藤枝教授。豆乳は加熱の程度が弱く、一気に飲むとアレルゲンが分解されないまま体内に吸収されてしまう。腹痛や血圧低下、冷や汗が出るなどアナフィラキシーが出る場合があるので要注意だ。

 確立された治療法はなく、予防策は原因となる食物を食べないのが基本。また、リンゴやモモなど原因物質が含まれたお酒を飲むのも避けたい。アルコールによって吸収されやすくなるためだ。

 予防のためにも、まずはどの花粉症かを特定する必要がある。採血で調べることができ、1週間ほどで結果が出る。藤枝教授は「口腔アレルギー症候群は、花粉の飛散時期に関係なく発症する。気になる症状があれば、アレルギー専門医の診察を受けてほしい」と話していた。

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