ブルーノ・スペングラー、“初めてづくし”の公式テストも素早い適応「チームもファンも素晴らしい」

 3月11日、岡山県の岡山国際サーキットでスタートしたスーパーGT公式テスト。GT300クラスに参戦するBMW Team Studie x CRSから、今季参戦することになった2012年のDTMドイツ・ツーリングカー選手権王者のブルーノ・スペングラーが“初めてづくし”のテストに参加した。

 2005年からDTMに参戦したスペングラーは、BMWに移籍した2012年にチャンピオンを獲得。以降もDTMでトップドライバーのひとりとして活躍を続けてきたほか、BMWワークスドライバーとして世界中でレースを戦ってきた。

 そんなスペングラーのスーパーGT参戦は、ファンにとっても大きなトピックスのひとつ。水曜に日本に着いたスペングラーは、東京都内でチームから温かい歓迎を受けた後、岡山に移動。3月11日に始まった公式テストでは、パドックフリーとなったこともあり、今度は多くのファンがピット裏で朝からスペングラーの参戦を歓迎した。

 テスト初日となったスペングラーは、午前のセッション1に9周、午後に14周を周回。午後には荒聖治のベストタイムの1分27秒436に対し1分27秒489を記録するなど、早々に適応をみせた。「このクラスのドライバーになると、すごい感覚をもっているので、初めて走るコースでも5周くらいすればもうベストラップを出してくる。DTMでチャンピオンを獲るようなドライバーはそういう感覚がありますよね。やはり外国人ドライバーと乗るワクワク感はあります」というのは荒だ。

 走行後もオンボード映像を熱心に研究するなど、ストイックな取り組みをみせていたスペングラーに、スーパーGT参戦について聞くと「まずはここに来られてとても嬉しいし、誇りに思うよ。スーパーGT、そしてBMW Team Studieに加わることができてとても嬉しく思っている」と笑顔で語った。

「チームの雰囲気は素晴らしいね。水曜に着いて、BOBさん(鈴木康昭代表)に空港まで迎えに来てもらい、さらに歓迎パーティもしてもらったからね。メカニックもエンジニアも素晴らしいと思う」

2023スーパーGT岡山公式テスト Studie BMW M4

■初めての岡山、そしてファンに驚き

 そしてスペングラーが驚いたのは、朝から待ち受けていたファンの多さだ。「テストにこんなにファンが来るところなんて初めて見たよ! ピットウォークもすごい人で、クルマを見たり歩いていたけれど、素晴らしいと思ったね」とスペングラーは語った。

 今季のスペングラーの参戦は、そんな日本の文化はもちろん、すべてが初めて尽くしとなる。「今日25周くらいしたけれど、コースは気に入ったよ。すごく忙しいけれど、テクニカルだ」という岡山はもちろん、スペングラーは今季のコースすべてが初体験だという。「僕にとっては、すべてが新しい体験になるし、大きな挑戦だ」というが、荒の言うとおり、その適応には問題はなさそうだ。

 またこの日は、スーパーGTで使用されるタイヤも初体験となった。その感想について聞くと「もちろん、スーパーGTで使われているのはスペシャルタイヤだ。他のシリーズで使われているスタンダードタイヤとは異なっている」と評した。

「パフォーマンスもグリップも一段高いね。ドライバーとしてはグリップはもっともっと欲しいくらいだけど(笑)。でも、こうしてタイヤコンペティションがあるのはスーパーGTだけだからね。そんな戦いに身を置けていることを楽しんでいるよ」とスペングラー。一方で、後方からGT500が迫ってくるスーパーGT特有の戦いについては「僕はIMSAでプロトタイプを抜かせるような、複数クラスの戦いは慣れている。問題ないよ」という。

 この日、Studie BMW M4はきっちりとプログラムをこなし、初日を締めくくった。「今日でコースを理解できたし、明日はまた新しいベースから始めることができるからね。明日の走行もとても楽しみだよ!」とスペングラーは笑顔をみせた。

 昨年Studie BMW M4をドライブしたアウグスト・ファーフスもそうだったが、“初めてづくし”でもすぐに結果を出し、ファンやメディアにもていねいに接し、ブランドイメージを大きく上げチームに貢献するワークスドライバーらしさを、初日からしっかりと見せてくれたスペングラー。チームにとっては非常に頼もしい存在となってくれそうだ。

2023スーパーGT岡山公式テスト Studie BMW M4

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