「映画を愛する全ての人に観てもらいたい」中瀬ゆかり激推しのスピルバーグ監督作「フェイブルマンズ」

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜 17:00~)。2月23日(木・祝)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

【"中瀬親方”による2月のおすすめ作品】

◆関脇
映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
3月3日(金)全国ロードショー

今年度アカデミー賞10部門11ノミネートの話題作「エブエブ(本作の略称)」! 映画「ミッドサマー」などで知られるスタジオA24によるアクション・エンターテインメント。

経営するコインランドリーに国税局が入るなど、個性的な家族に囲まれて頭の痛い問題ばかりの主人公エヴリン。突然、夫に乗り移った"別の宇宙の夫”から世界の命運を託され、マルチバース(平行世界)にジャンプしてしまう…。

中瀬親方のコメント「『グリーン・デスティニー』などで知られるミシェル・ヨーが演じる疲れ果てた中年女性の主人公エヴリンの日常から物語は始まります。マルチバース(平行世界)にジャンプすることでカンフーの達人の身体能力を得て、世界と家族を救う闘いに挑むという話で、すでに筋書きを設営しようとしながらも自分で何を言うべきなのかも全然わからないような世界観です(苦笑)。

"マルチバース×カンフー”というアメリカ人の大好物のような作品で、生きているなかで嫌なことがあったときに"こんなはずじゃなかった”"私の人生、もっと別の可能性があったんじゃないか”って思うことがあるじゃないですか。すごくいいなと思ったのは、(この作品では)そういうときに、平行世界で別の人生があったりするんですよね。とにかく「カオス」の一言なんだけど、観ているうちにどんどんハマっていって、じわっとする泣きどころすらあるんです。それでいて"自分は今、一体何を観せられているんだろう!?”って気持ちにさせられる恐るべし作品です。

アカデミー作品賞の大本命と言われていて、今年度のオスカーの行方はどうなるのか本当に目が離せないです(結果は3月13日に判明)。とりあえず今『エブエブ』を観ておくと、この解釈だけで大いに盛り上がれると思います」

◆大関
短篇集「あなたはここにいなくとも」
著 町田そのこ(新潮社)

2021年に「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞した話題の作家・町田そのこによる短篇集。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめで対人恐怖を感じる女性、人間関係を全てリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずの不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れを題材とした珠玉の全5篇。

中瀬親方のコメント「日常のなかで悩みを抱えて、(前に)進めなくなっている人たちはたくさんいると思います。私もこの歳になってもやっぱり悩みは尽きないですけど、町田さんの作品は、常にそういう人たちの背中をやさしくそっと押してくれるような作品になっていて、夜はこの本を枕元に置いているんですけど、1篇ずつ読んでいるとすごくいい夢を見ている感じのする作品で、関脇として紹介した映画(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)とは対極にあるような感じ(笑)。

ものすごくクオリティの高い名短篇揃いですが、なかでも『くろい穴』という作品は、『向田邦子さんが生きていたらきっとこんな小説を書くんじゃないか』というレベルの、人間心理に深く刺さる掛け値なしの名作だと思いました」

◆横綱
映画「フェイブルマンズ」
3月3日(金)全国ロードショー

「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」など、数多くの名作を世に送り出してきたスティーヴン・スピルバーグ監督。彼が"映画監督”になる夢を叶えた自身の原体験を描いた自伝的作品。

中瀬親方のコメント「主人公のサミー・フェイブルマン少年は、子どもの頃、親に連れて行かれて初めて映画館を訪れて、そこで観た一本の映画によって、映画の世界にどっぷりはまっていくんです。

そしてサミー少年は、買ってもらった8ミリカメラを手に、家族の休暇や旅行などを撮る記録係となり、妹や友達が出演する作品をどんどん制作していくんです。そのクオリティがまたすごくて、実際にスピルバーグ氏が作っていた映画を再現しているらしいんです。

あるとき、引っ越した先で起こるさまざまな出来事が、どんどんサミー少年の未来を変えていくんです。しかもこの家族にはある秘密があって、(物語が進むにつれて)それがどんどんわかってくるんです。日常の何気ない家族のシーンや学校生活の風景が、スピルバーグ監督の手にかかると本当にあっという間に感じるほど面白く描かれていて、最後の5分はまるで魔法にかかったような奇跡のシーンがあって、全身がゾワッとするような感じで観終わりました。

映画を愛する全ての人にこれは観てもらいたい。これも先ほど紹介した『エブエブ』と一緒でアカデミー賞の候補に挙がっていて、今年度のアカデミー賞は、以前このコーナーでも紹介した『イニシェリン島の精霊』もありますし、どれが作品賞を獲るのか目が離せない展開になっていますので、ぜひみなさん注視していきましょう。個人的に一本と言われれば『イニシェリン島の精霊』推しではありますが、どれも負けず劣らず魅力的な作品でした」

中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回3月のエンタメ番付は、3月30日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。

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<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~17:59 <TOKYO MX1> 「エムキャス」でも同時配信(地上波放送エリアを除く)
メインMC:垣花正
アシスタントMC:大橋未歩(月~木)、ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/goji/
番組Twitter:@gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu

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