福井の甘エビは金沢に負けない…60代夫婦が5年がかりで「天越干しえび」商品化、ふるさと食品コンクールで快挙

甘エビの加工品を商品化した舩木秀二さん(左)と妻の千恵美さん=福井県坂井市三国町神明2丁目

 福井県坂井市の「三国湊舩木水産」が特産の甘エビを使い商品化した「天越干しえび」が、食品産業センター(東京)などが主催する「2022年度優良ふるさと食品中央コンクール」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。同社は底引き網船、天越丸を操船する漁業者で、魚介類の水揚げを手掛けながら、船長でもある舩木秀二社長(60)と妻の千恵美さん(63)が二人三脚でオリジナルの商品開発や販売にも挑んでいる。

 同コンクールは、全国各地の「ふるさと食品」の品質向上などを目的に開かれている。4部門あり、「天越干しえび」は国産畜水産品利用部門で受賞した。

 同社はこれまで甘エビやガサエビの冷凍食品を主に商品化してきた。「天越干しえび」は、冷凍では陳列棚でどうしても不利になることから、初めて常温で陳列できる商品の開発に取り組んだ。

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 開発は5年前から、県食品加工研究所や東京の専門のアドバイザーから指導を受けた。干し甘エビは殻、卵、身、頭のみそをバランス良く乾燥するのが技術的に難しく、加熱温度、水揚げや冷凍してからのタイミングなど、うま味をどう残すか試行錯誤を繰り返した。

 パッケージにもこだわり透明プラスチックを採用、500円(税抜き)で5匹のエビが入った食べ切りタイプに。包装には、ゆるキャラのイラストを付けた。千恵美さんは「甘エビの質には絶対の自信がある。本来の味を知ってもらいたくて、味付けは一切していない」と自信を見せる。

 21年8月に商品化。坂井市内の土産物店と南越前町の道の駅「南えちぜん山海里」で販売したところ千ケースを完売。その後、追加製造千ケースも完売し、現在は在庫はなしの状態。4月からの甘エビ漁で量を確保し、2千ケースを用意するという。

 舩木社長は「甘エビと言うと金沢のイメージが定着して悔しい。三国港で揚がる甘エビのうまさは一級品。私ら漁業者も生き残りに必死。今後も新しい商品化に力を注ぎたい」と話している。表彰式は3月15日に東京・千代田区の学士会館で行われる。

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