ヴェルスパ大分 開幕戦で見えた収穫と課題 【大分県】

悲願のJ3昇格に向けたヴェルスパ大分の開幕戦は、黒星スタートとなった。開幕特有の緊張感があったとはいえ、山橋貴史監督は「自分たちで試合を苦しくした。流れのいいときに点が取れず、一瞬の甘さが出たところで失点した。昨年からの悪い負けパターン」と肩を落とした。

今季も後方からボールを保持し攻撃を組み立て、局面で数的有利の状態から決定機をつくるスタイルは変わらない。ただ、後方でミスして、ボールを失えば失点に直結する。前半30分に先制ゴールを許した場面が、まさにそれだ。反省材料以外の何ものでもない。しかも、この得点で滋賀はゴール前を固めてカウンターに狙いを絞ってきた。山橋監督は「失点すると相手に守られる。そうならないためにも、前半で優位になる展開にしなければいけなかった」と悔やんだ。

チャンスはつくったがゴールが遠かった

しかし、後半は交代カードを5枚切って、攻撃を活性化して持ち直した。この反撃の原動力となったのが、2年ぶりに復帰した瓜生昂勢と金子雄祐を中心とした高いポゼッション(ボール保持)と藤本拓臣の突破力、中野匠との連係を生かしたサイド攻撃だった。「(ベンチから試合を見ていたときに)中央を固めていたので、サイドで起点をつくって勝負できると思っていた」(藤本)。

後半の内容を振り返ると、大分の優勢が目立った。攻撃の矢印がゴールに向かうことでシュートが増え、中盤の空いたスペースを起点にサイドに展開。藤本がドリブルで仕掛け、クロスを入れる。結果的にゴールにつながるシーンはなかったものの、敵陣深くまで攻め込んだ。この後半の戦い方について、「コンビネーションに問題はない。チャンスはつくれたので、あとは決め切る力だけ」(山橋監督)。「(パスの)出し手と受け手のタイミングさえ合えば問題ない。得点の確率を上げるためにシュート数を増やしたい」(瓜生)と手応えを得ている。開幕戦に敗れたものの、3年目の山橋監督が目指すスタイルは洗練され、機能したことは収穫と言えそうだ。

ドリブル突破で流れをつくった藤本拓臣

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS