全国で初めて公立夜間中学に入った中学生が卒業 「クラスメイトはお父さん、お母さんみたいな存在」 香川・三豊市

3月10日、三豊市にある香川県初の公立夜間中学で、卒業式が行われました。卒業したのは、不登校を経験した中学3年生。「ある目標」を胸に、新たな一歩を踏み出しました。

三豊市立高瀬中学校夜間学級を卒業したのは、15歳の中川大貴さんです。

(三豊市立高瀬中学校夜間学級/佐藤浩二 校長)
「本校夜間学級の初めての現役中学生でしたから、迎える私たちも期待と不安が入り混じったスタートとなりました。立ち止まっていたことのすべてが、それで取り戻せるわけではないでしょうが、本校での学び・体験が、自分の道を歩んでいくための助けになれたのならうれしく思います」

中川さんが転入してきたのは2022年10月。前の学校では、中2の1学期ごろから友人関係に悩み、不登校になっていました。

高瀬中学校夜間学級は2022年4月、県内初の公立夜間中学として三豊市に開校しました。

公立夜間中学は、さまざまな事情で義務教育を十分に受けられなかった人が通う学校です。

現在、15都道府県に40校の公立夜間中学が設置されていますが、不登校特例校として中学生を受け入れているのは、全国で唯一、三豊市だけです。

中川さんは、全国で初めて公立夜間中学に入った中学生。

外で人と接することが苦手でしたが、10代から80代まで幅広い世代の生徒に囲まれ、少しずつ打ち解けました。授業中には笑顔を見せる場面も。

(三豊市の公立夜間中学を卒業/中川大貴さん)
Q.一番の思い出は?
「水族館に行った時が一番印象に残っています。クラスメイトの人たちと話ができたので、楽しかったです」

Q.クラスメイトはどんな存在?
「お父さんとか、お母さんみたいな存在です。みんな優しくて、話しかけてくれるから」

卒業式の前日には、先生や級友たちが、教室の飾りつけをしました。

(在校生代表/石尾彰さん[54])
「これからの中川君の高校生活が、明るく希望のあるものになることを在校生全員で祈っています」

中川さんは4月から県内の通信制高校に通います。大貴さんの晴れ姿を見届けた両親は……。

(卒業生・中川大貴さんの母/加代さん)
「卒業証書をもらう時に涙が出ましたね。うれしかったです」

(卒業生・中川大貴さんの父/真治さん)
「本人の気持ちで通えた5カ月間だったと思うので、(夜間中学での学校生活は)すごくプラスになっていると思います」

(三豊市の公立夜間中学を卒業/中川大貴さん)
Q.夜間中学での学校生活は?
「やりやすくて楽しかったです」
Q.これからの目標は?
「(高校生になったら)アルバイトをしてみたい。人とちょっとでも関わってみたいから」

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