「関係者と双方向のコミュニケーションとりたい」JR東海“田代ダム案”めぐり静岡県と応酬 リニア工事に伴う水の県外流出対策

リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う静岡県外への水の流出対策=「田代ダム案」の本格的な議論を始めるにあたって、JR東海は流域の市や町などの関係者に個別に意見を聞きたいとして、文書で静岡県に了解を求めました。ただ、交渉の窓口となっている県は規約にのっとり「ご遠慮いただきたい」としていて、なかなかかみ合いません。

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「田代ダム案」は大井川上流にある東京電力の発電用ダムの取水量を抑えて、リニア工事による水の県外流出分と相殺する案です。JR東海は3月13日、「田代ダム案」の確約を取るべく、東電側と本格的な協議を始めるにあたって、流域市町や利水団体などの関係者の意見を聞きながら、個別に説明を行い、双方向のコミュニケーションを取りたいとして、静岡県に了解を求める文書を送付しました。

リニア新幹線のトンネル工事をめぐりJR東海と静岡県はなかなかかみ合わず

「田代ダム案」をめぐっては、東電側が議論の前に、流域の市や町などの関係者の了解を得ることが必要との見解を示したため、JR東海は3月8日、個別に確認を取ることへの了解を求めて、静岡県に書面で伝達。

しかし、県は3月9日、流域関係者らで作る大井川利水関係協議会の規約にのっとり、「個別に了解を確認することはご遠慮いただきたい」と文書で回答していて、これまで通り、県を窓口にするよう求めています。

また、県としても、協議会を早期に開催しJR東海が関係者に説明する場を設けるとしていますが、今回JR東海は個別での接触の重要性を強調した格好です。

JR東海の金子慎社長は「たくさんの理解を円満に得て前に進めたい」と話していますが、県との文書での応酬が続く中、見通しは不透明です。

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