お帰りなさい、若田さん 帰還見守った「地元」の子らから歓声 来月から「宇宙留学」に行く子も

若田光一さんが搭乗した宇宙船が海面に着水すると、「お帰りなさい」と一斉に拍手が起きた=12日午前11時2分ごろ、埼玉県さいたま市浦和区駒場の市青少年宇宙科学館

 埼玉県さいたま市出身の宇宙飛行士若田光一さん(59)は12日、5回目の宇宙飛行から約5カ月ぶりに地球へ帰還した。若田さんが名誉館長を務める市青少年宇宙科学館(浦和区)で、パブリックビューイング(PV)が開かれ、子どもたちが参加。若田さんらが搭乗している宇宙船が無事に着水すると、「お帰りなさい」と会場から拍手が起きた。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、若田さんの地球帰還を動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信。同館はPVを急きょ準備し、来館していた子どもたちや市教育委員会の細田真由美教育長ら約80人が参加した。

 若田さんら4人の宇宙飛行士が搭乗した宇宙船が大気圏に突入し、夜空にパラシュートが開くと、「きれい」と声が上がった。宇宙船はゆっくりと高度を下げ、日本時間12日午前11時2分ごろ、予定通り米国フロリダ州沖に着水。子どもたちから「お帰りなさーい」「すごーい」と一斉に拍手が起きた。市立高砂小学校3年の餅田惺史さん(9)は「無事に帰ってきて良かった。かっこ良かった」と話した。

 市立木崎小学校4年の徳武芽依さん(10)は「すごく感激した。宇宙船が水面に着いた時に、地球に帰ってきたんだと思った。どんな気持ちなのか聞いてみたい」と感想を語った。鹿児島県南種子町(種子島)の宇宙留学事業で、4月から1年間、地元の小学校に通学しながら、宇宙やロケットの学習体験に参加する。若田さんの本を読んで大好きになり、応募作文に若田さんのことを書いた。「5回も宇宙に行けて、すごい。星が好きなので、夢は宇宙飛行士。月へ行ったりして、無重力を感じてみたい」

 昨年10月の若田さんとの交信イベントに参加した市立本太小学校6年の小方大碧さん(12)は「無事に地球に帰ってきてくれて、すごくうれしかった」。宇宙飛行士やJAXAの開発部で働き、ロケットや月の開発に携わるのが夢。若田さんの勇姿を見て、大きな刺激を受けたようで、「宇宙飛行士が安心して宇宙へ行けるようなロケットをいつか造りたい」と意気込みを語った。

 同館職員で若田さんの事業担当を務める安藤紘子さんは、涙ぐみながら帰還を見守った。「ほっとしました。大人が頑張っている姿を子どもたちに見せられることはとても素晴らしい。子どもたちが『次は私の番だ』と思える。とてもうれしい瞬間に立ち会えて、人生の宝です」と話していた。

■任務完遂に敬意 市長らがコメント

 さいたま市の清水勇人市長は12日、「若田光一宇宙飛行士が、無事帰還されたことを大変うれしく思います。自身初の船外活動など、数多くの任務を立派に完遂されたことに敬意を表します。若田さんの活躍は、市内の子どもたちの宇宙や科学への興味・関心を一層高め、夢と希望を広げる大きな追い風となると強く思います。今後のさらなる活躍を期待しています」とのコメントを出した。

 市教育委員会の細田真由美教育長は12日、取材に「若田さんが無事に帰還されて本当に良かった。市内の子どもたち全員が応援していたので、心に届いたと思う。子どもたちが自分の夢をかなえるために、自分のベストを尽くすという勇気を直接もらえたと思う」と述べた。

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