苦情が相次ぐ…騒音、振動が多い金属スクラップなどの保管ヤード 埼玉半数で周辺住民が迷惑 悪臭、炎上も

 埼玉県は13日、金属スクラップやプラスチックなどの再生資源物の屋外保管場所(ヤード)に関する調査の結果、確認した229カ所のうち、半数の115カ所で騒音や悪臭などの苦情や、火災発生などの問題が起きたことが分かったと明らかにした。大野元裕知事は「対策が必要だが、条例では根本的解決にならない。全国一律の規制制度を設けるよう国に働きかけたい」と述べた。県議会予算特別委員会(斉藤正明委員長)で須賀敬史議員(自民)の質問に答えた。

 有償で取引される再生資源物は産業廃棄物処理法の規制対象外。県は2月までに市町村が把握している施設について照会した。騒音や振動の苦情が多く、悪臭や飛散なども報告された。県産業廃棄物指導課は「金属に付着した油の臭いや、軽く細かい物が飛散したと考えられる。感覚公害は適切に管理しても不快に感じる住民がいるかもしれないが、火災は何か原因がある可能性がある」と話した。

 都道府県では、千葉県が全国初の条例制定を目指している。千葉県の担当者によると、県内332カ所で県職員が実地調査を行い、約3分の1のヤードで油の流出など環境への影響を確認。骨子案では、ヤードを許可制とし、条例に違反した場合は許可の取り消しなどを検討している。

 埼玉県内では、川口市のみが同様の条例を制定している。対象は土石や廃棄物を含む資材置き場で、新設は許可制。担当者によると、市内では足場材や土石の置き場が多く、倒壊や粉じんを防ぐため塀を設けることなどを条例で求めている。昨年7月に施行され、許可を取った事業者は1件だけという。

 大野知事は議会での答弁で「条例では罰則の上限があり、十分な抑止力にならない。規制がない自治体に移ることも考えられる」と話し、近隣県と協力して国に対応を求める考えを強調した。

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