“加藤氏の地元歓迎” 自民長崎2区支部長決定 事前協議なく旧3区不満

 自民党は衆院新長崎2区の支部長に旧長崎2区選出の加藤竜祥氏(43)を決定し、旧長崎3区選出の谷川弥一氏(81)は比例代表に転出することになった。加藤氏の地元は歓迎する一方、旧3区からは党県連内で事前協議がなかったとして不満の声が上がった。
 県内小選挙区の定数は、昨年12月の区割り改定で「4」から「3」に減少。新2区は、旧2区の島原半島など4市2町と、旧3区の大村、対馬、壱岐3市を合わせた選挙区となった。県連選対は2年前、新2区の支部長選定について「現職優先」とせず「(旧2区と旧3区の)合区時に再度話し合う」と申し合わせていた。
 だが森山裕選対委員長は記者団に「党本部の(現職優先という)定めに基づいて決めた」と説明。今月3日、県連の古賀友一郎会長、徳永達也幹事長と面会した際、「2区支部長は早く決めてほしい」と求められたことを明らかにした。
 加藤氏の地元、島原市のNPO法人理事長の男性は「まだ若いので当選を重ねて力をつけてほしい。みんなで盛り立てたい」と歓迎。一方、党大村支部の関係者は「県連内で事前協議がなく、だまし討ちのようだ」と批判。別の関係者も「大村支部の意見を言う機会がなかった。遺恨が残らなければいいが…」と不満そうに話す。
 古賀氏は、加藤、谷川両氏と旧4区選出の北村誠吾氏(76)の現職3人の中に意向を確認できなかった議員がいたとして「県連で調整が難しい状況だった。党本部が適切に判断した」と説明。加藤氏は「旧3区の方々と対話しながら施策を進めたい」と述べた。
 一方の谷川氏。旧3区の市町が新2区と新3区に振り分けられ事実上「選挙区がなくなった」(谷川氏)形となり、選択肢としては▽新1区支部長▽比例転出▽引退-のいずれかに絞られていた。国境離島新法制定など県勢浮揚に尽力してきたとの自負があり、今後も本県に貢献したいと思いながらも、高齢を理由に比例転出を望んでいた。「それが認められたことで加藤氏の支部長決定も決まった」(複数の県連関係者)との見方も。党対馬支部の関係者は「離島は新2区と新3区に分断されたが、比例代表ならば(谷川氏は)全県の離島の声を聞くことができる」と好意的に受け止めた。
 新1区は国民民主党現職の西岡秀子氏(59)に対抗できる候補が見つからず、新3区の支部長も現職の北村氏を含め複数が意欲を示す。ある県連幹部は「今度は県連内で丁寧な議論が必要だ」とくぎを刺した。

© 株式会社長崎新聞社