先祖代々伝わるニホンオオカミの頭骨は本物だった 福井市自然史博物館が調査し1600年前後のものと推定、5月に展示

ニホンオオカミのものと判明した頭骨=3月14日、福井県の福井市役所

 福井県鯖江市の民家でニホンオオカミのものと先祖代々伝わってきた頭骨が、このほど福井市自然史博物館に寄贈され、調査の結果本物と判明した。頭骨は、病人の枕元に置いて魔よけとしたり、治癒を祈って貸し出したりといった「オオカミ信仰」に使われてきたもので、伝承通り、室町時代から江戸時代初期の1600年前後のものと推定されるという。

 頭骨は長さ23センチで、全長1.2メートル程度の成体とみられる。上あごの右部分が一部欠けている。一般的な犬の頭骨より二回りほど大きく、これまでに見つかったニホンオオカミと比べても大きいという。全体が黒色なのは、いろりのすすなどが付着したためとみられる。

 ニホンオオカミは明治時代に絶滅したとされ、博物館など公的機関で保存されている頭骨は、数十点しかないという。福井で生きていたとみられるニホンオオカミの頭骨は、国立科学博物館と県立若狭歴史博物館に収蔵される計3体のみで、4例目の発見となった。

 鯖江市吉江町の男性から2021年10月に、福井市自然史博物館に寄贈された。同博物館は、オオカミ特有の額や下あごの形状、頭骨側面の神経が通る穴の数からニホンオオカミと断定。民間の調査機関の協力も得て、骨の中から抽出したコラーゲン内の炭素濃度を基に生息していた年代も測定した。海産物を食べていたとみられることも分かった。

 男性の家では、慶長年間(1596~1615年)または宝暦年間(1751~64年)の頭骨と語り継がれ、病人の枕元に置くなどの「オオカミ信仰」が伝承されてきたという。

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 同博物館では18日から始まる特別展期間中の5月2~28日、頭骨をガラスケースに入れて展示する。

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