WECハイパーカーに挑むフェラーリ、開幕戦前の公式テストは「初登校のようだった」

 3月11~12日にセブリングで行われたWEC世界耐久選手権の公式テスト“プロローグ”は、今年ハイパーカークラスにデビューするフェラーリAFコルセにとって、「初登校」のようなものだったと同メーカーのGTおよびスポーツカーレース&テストマネージャーは語った。

 イタリアのル・マン・ハイパーカー(LMH)メーカーは、2022年の夏から非公開でテストを行ってきた新しいハイブリッドLMHを、初めてWECの公式セッションで走らせた。

 フェラーリのジュリアーノ・サルヴィは記者団に対し、AFコルセのファクトリーチームは、マシンの「ディテール」を確認する必要があるものの、プロローグの結果にはおおむね満足していると述べた。

 彼はまた、日曜日の朝にジェームス・カラド駆る51号車フェラーリ499Pがターン1でクラッシュしたことについて、WECが新たにタイヤウォーマーを禁止したことが原因であるとしたうえで、次のように語った。

「我々にとって学校に初めて通う日のようだだった」とサルヴィ。

「私たちは7月6日にテストを開始した。フロントに電気モーターを積むLMHのような複雑なクルマにとって、この時間はすべての人の大きな努力を必要としたことを理解してもらえると思う」

「我々は自分たちのしたことを非常に誇りに思っているが、まだ修正しなければならない細部や、“グレムリン”がたくさんあることは明らかだ」

「最初の2日間(=プロローグでの走行)は、小さなアクシデントを除けば、本当に満足のいくものだった。朝一番の走行で、コースはとても寒かった。ドライバーにとって、それは新しいことなんだ」

「(レースウイークにあたる)5、6日後に起こるより、いま起こったほうがいい。それはタイヤが冷えている状態でのアウトラップで起きた。大したことではなかったよ。ドライバーとクルマにとって幸運なことに、深刻な事態には至らなかったんだ。とはいえ損傷している部分があるので、あらゆるチェックをしているところだ」

 フェラーリは、12日(日)の最終セッションに間に合わせるために51号車を修理するのではなく、徹底的に調査することを選択した。クルーはマシンの外装類をシャシー部分まで分解したが、交換用のタブが導入されることはなかった。

「それは(土曜日に)あのクルマで、非常にスムーズな1日を過ごせたという事実の結果だ」とサルヴィは説明した。

「走行距離も多かったし、むしろ多すぎたくらいだ」

「私たちは普段から、パーツの寿命のために何をしなければならないかという統計を持っている。ある時点で、私は彼らに『少し降りてきて、セットアップを確認しよう』と言うべきだった」

「というのも、レース準備の段階から完全に狂ってしまうため、本当に極端に1日を必要としていたわけではなかった。最初のイベントの前にクルマが古くなってしまっては、元も子もないしね。だから(午後のセッション)行く必要性も、大きなプッシュもなかったんだ」

 アントニオ・フオコ、ニクラス・ニールセン、ミゲル・モリーナの50号車は、チームがさまざまなセットアップに取り組む中で最終セッションに臨み、サルヴィはこのクルマのテストを「本当にスムーズ」だったと表現した。

フェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P

■最初のステップは無事にチェッカーフラッグを受けること

 フェラーリ499Pのベストラップは、プロローグ終盤に50号車のニールセンが記録した1分49秒300だった。これは総合トップタイムを記録したトヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)よりも1秒以上遅れている。サルヴィはデンマーク人がドライブした際、クルマ燃料が少なかったと説明した。

 彼は、フェラーリがハイパーカーのライバルと比較してどの程度の位置にいるのかを評価するのは難しいとしながらも、チームは「ほぼ同じ位置にいる」と感じている。

「私たちはフェラーリなので、大きな野心を持っている」とサルヴィ。

「しかし、我々は他のすべての競争相手に大きな敬意を払っているんだ。トヨタ、ポルシェなど、デイトナを走っている人たちや、2年間ハイパーカーを走らせている人たちがいる」

「まるでボールパークにいるようだ。私たちのパフォーマンスには満足している。最終的な目標はつねにリードすることだが、これは段階的に行う必要があると思っている」

「最初のステップは、チェッカーフラッグを見ることだろう。最初のイベントでそれを見ることができれば、圧縮された開発プログラムの中で、信じられないようなことが起こるだろう」

「そして、もし1台でも表彰台に上がることができたなら、それは本当に夢のような話だ」

フェラーリ・AFコルセの51号車フェラーリ499P

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