3月15日、東京都千代田区永田町の自由民主党党本部にて、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の定時総会が開催された。総会には同連盟の加盟議員に加え、GTアソシエイションの坂東正明代表、日本レースプロモーション（JRP）の上野禎久代表取締役社長、そして次期取締役会長となる近藤真彦氏らが出席し、各シリーズにおける今シーズンの取り組みなどを説明した。
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は、2001年に国内モータースポーツのさらなる振興と発展を目的に発足した国会議員による連盟組織だ。同連盟は古屋圭司衆議院議員が会長を努め、モータースポーツ参戦経験もある三原じゅん子参議院議員が幹事長となり、元F1ドライバーで2021年に初当選した山本左近衆議院議員が同連盟の事務局長を務めている。
今回の総会にはGTアソシエイションの坂東代表、JRPの上野代表と次期取締役会長となる近藤氏をはじめ、インタープロトシリーズ＆KYOJO CUPの関谷正徳代表、MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会の鈴木哲夫会長、JRCA新井敏弘会長らが出席し、各シリーズの開催概要やカーボンニュートラルへの取り組みについて説明が行われた。なお、今回にはトヨタ、ホンダ、ニッサン、スズキ、スバル、マツダといったモータースポーツに参戦する四輪、二輪メーカーの担当者も出席している。
総会は山本左近事務局長による進行のもと、まず古屋会長の挨拶から始まり、その後に各団体からの活動報告が行われた。スーパーGTでは坂東代表が2023年のスーパーGTについて参戦車両や国内8大会という開催概要が説明され、今季から導入されるカーボンニュートラルフューエル（CNF）について、少し（燃料が）燃えない要素があったり、煤が出たりということはあるが、引き続き環境のことを考えながらレースをしていき、2030年までを目標に『音の出るモータースポーツ』を継続していきたい」という考えを改めて述べた。
続くスーパーフォーミュラでは、3月5日にJRPの次期取締役会長への就任が発表された近藤氏が、「テレビ局では顔パスなのですが、今回の会場に到着したら『どちら様ですか？』と聞かれてしまいました（苦笑）」と語って場を和ませると、続けて「とにかくみなさんの力でモータースポーツを盛り上げていきたい」と、笑顔で次期会長への意気込みを語った。
なお、既報のとおり、総会に出席したJAF日本自動車連盟の村田浩一モータースポーツ部長は、2024年3月に東京都江東区有明にあるビッグサイト周辺でのABB FIAフォーミュラE世界選手権開催についての進捗について述べている。
総会は続けて、各シリーズのカーボンニュートラルへの取り組みについて、改めて各プロモーターが説明を行った後、同議連が進める『自動車モータースポーツの振興に関する法律案』について、三原幹事長より「今国会での成立を目指していきたい」という進捗状況が説明された。この法律案については、今後野党への説明が行われる予定で、大のクルマ好きだという立憲民主党の松木けんこう議員が窓口となり、今後も三原幹事長が先方の意向などを確認しながら法律の成立を目指して調整などを進めていくという。
なお、今回の総会には2022年のスーパーフォーミュラで2年連続のドライバーズチャンピオンを獲得し、公益財団法人日本プロスポーツ協会による令和4年度『日本プロスポーツ大賞』敢闘賞を受賞した野尻智紀、そしてスーパーGT GT500クラスでTEAM IMPULを27年ぶりにタイトルへと導いた平峰一貴も参加した。
総会終了後、野尻は「モータースポーツはもっと活用できる場がたくさんあると日ごろから思っていました。そのなかでたくさんの方がこのように協力をして、もっとモータースポーツが盛り上がっていく未来が作れたらいいなと思いますし、選手としても、これまでそういったことを考えながらレースをしてきましたが、今後もそういった思いを忘れずにレース活動に取り組んでいきたいです」とオートスポーツwebに対して語った。
また、平峰も「こういった場にみなさんが集まり、モータースポーツに関して思っていることをきっちりと話し合っていただいていることは、ドライバーとして本当に感謝をしています。みなさんのお力になれるように、これからもドライバーとして頑張りたいです」と続けた。
そして、事務局長として総会の進行役を務めた山本議員はオートスポーツwebに対し「今回の総会では各団体が昨年1年間の活動報告ならびに、非常に大きな議題のひとつだった、日本のモータースポーツ界が世界に先駆けて行っているカーボンニュートラルへの取り組みについて状況報告をしていただきました」と総会を振り返った。
「出席していただいた議員の先生方からも、モータースポーツに関するさらなる理解、さらなる応援をしていただける意見や質問をいただくこともできました。自由民主党モータースポーツ振興議員連盟として、こういった輪をさらに広げていきたいと思っています」
山本議員をはじめ、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟が進める自動車モータースポーツの振興に関する法律案の成立、そして国内モータースポーツのさらなる発展に向け、今後の国、行政、オーガナイザー、そしてメーカーが連携を取り合っての取り組みに期待したいところだ。
