トラブルフリーのトップ堅持で公式テスト終えたトヨタ「パフォーマンスについて語るのは時期尚早」と平川亮

 3月11〜12日、WEC世界耐久選手権の開幕前公式テスト『プロローグ』がアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催され、トヨタGAZOO Racing(TGR)は17日(金)に決勝レースが行われる第1戦セブリング1000マイルレースに向けた準備を進めた。

 このテストでトヨタGR010ハイブリッドは、昨年も戦ってきたプジョーとグリッケンハウスに加え、初めてキャデラック、フェラーリ、ポルシェ、ヴァンウォールといったハイパーカークラスの新たなライバルたちと走行した。

 TGRはこの2日間/4回にわたるセッションで、2台合わせて587周、3500km以上という距離をトラブルフリーで走破。マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスの7号車が総合トップタイムをマークし、2日間のテストを終えた。セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車もわずか0.008秒差で2番手に続いている。

 2023年仕様として改良されたGR010ハイブリッドには、セブリングの走り始め早々から軽量化と空力の見直しによる効果が現れたという。これにより、ドライバーとエンジニアは、独特の荒れた路面で知られるセブリングでの走行機会を、車両セットアップとタイヤ評価のためにフル活用することができた。

 TGRからテストに参加した6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。2日間の車両整備を挟み、レースウイークの走行は現地時間15日(水)にスタートする。

トヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド

■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「これまでのところは順調です。テストはとてもうまくいき、ラップタイムも悪くないように見えますが、あくまでまだテストの段階であり、レースウイークはまた違ったものになるでしょう。さらに改善できる点を見出す必要があります」

「今季は新たなライバルが増えますが、実際のところ、我々がテストや練習走行でやるべきことはあまり変わりません。自分たちのスピードを見極め、車両のバランスとセットアップを改良するための準備に集中する必要があります」

「今年は予選も決勝レースもこれまでとは大きく異なり、わずかなミスで大きく順位を落としかねません。そのため、今後の目標は明確で、決勝レースへ向けて最善のポジションを得るためのスピードを見出すことです」

■マイク・コンウェイ(7号車)

「とても堅実な2日間だった。セットアップの比較やタイヤ、さまざまなテストなどやるべきことがたくさんあったが、多くを達成して学ぶことができ、すべてがスムーズに進んだ」

「我々は予定したプログラムに専念し、ペースという点ではすべがうまくいっているように見える。現時点でライバルとの状況がどうなのかを言うのは難しい。我々は自分たちのことだけしか分からないし、2台ともに調子は良い。重要な2日間となったが、我々も可能な限りの準備を進めている」

■ホセ・マリア・ロペス(7号車)

「全体的に良いスタートとなった。チームとして良いペースを見せられたが、ここまでの結果は必ずしも金曜日の決勝レースで何が起こるかを反映したものではない」

「プロローグテスト2日目は、ライバル勢もかなり良くなってきて、タイムも接近している。この進化が今後も続くことは間違いないので、上位で戦い続けるためにも、更なるスピードを求めて努力を続ける必要がある」

「ともあれ今回のプロローグテストでは、2台そろって速さを見せることもできたので、良いスタートが切れたと思うし、週末が楽しみだ」

今季もチーム代表を兼任する7号車GR010ハイブリッドの小林可夢偉

■セバスチャン・ブエミ(8号車)

「セブリングに戻って新たなハイパーカーのライバルと戦えるのは楽しいことで、良いプロローグテストとなった。タイムシートに多くのハイパーカーが並んでいるのを見るのは嬉しいし、耐久レースにとっても素晴らしい瞬間だ」

「このチャレンジングなコースと、暑いコンディションの中で、2日間にわたって競争力を保ち、信頼性も高かったのは良かった。しかし、ライバル勢がどこまでプッシュしているのか、どれだけのポテンシャルを秘めているのかは分からない。それは金曜日の決勝レースで明らかになるだろう」

「良いデータも得られたので、これから解析し、来週は好結果を目指し戦えることを期待している」

■ブレンドン・ハートレー(8号車)

「すべてのハイパーカーが一緒にコースを走っているのを、ようやく見ることができて感無量だ。我々はチームのハードワークのおかげで、このプロローグテストの2日間をトラブル無く順調にこなし、ほとんどのテスト項目をやり切ることができた」

「ドライバーとしても車両の感触は良かったし、スピードもあった。昨年に比べて車両のバランスという点で良い進化を遂げているように感じる」

「競争力はあると思うが、現時点で分かっているのは自分たちの状況であって、ライバルがどのようなことを行っているのかは分からない。レースウイークへ向けて、さらに性能を引き出すよう努力を続ける」

■平川亮(8号車)

「セブリングに戻れてとても嬉しいですし、2日間のプロローグで充実した走りができたことに満足しています」

「結果だけ見れば悪くないですが、ライバルがどのようなプログラムをこなしていたのか分からないので、パフォーマンスについて語るのは時期尚早です」

「とはいえ、ここまでのところは満足していますし、この週末に向けて、ハードワークで改良された車両を順調に走らせてくれたチームに感謝しています」

「これから数日、休息を取って英気を養い、レースウイークに全力で挑みます」

8号車GR010ハイブリッドをドライブする平川亮

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