長崎県警「詐欺の予兆」音声公開 市職員名乗る不審電話相次ぐ 自動通話録音機の設置を

公開された予兆電話の音声データで、相手は実在しない「健康保険課」の職員を名乗った(写真はイメージ)

 2月中旬以降、長崎県内で市役所職員を名乗る不審電話が相次いでいる。県警は、還付金名目で金をだまし取るニセ電話詐欺の予兆電話だとして警戒。実際にかかってきた電話の二つの音声データを公開し、注意を呼びかけている。

 タムラ 「健康保険課のタムラですが、A男さんのご自宅でよろしいですか?」
 A男 「はい、間違いありません」
 タムラ 「昨年の8月に医療明細通知書をお送りしてまして、中に返信が必要な書類がありましたが、まだご提出されていないみたいなんですけど、書類はお手元にございますか?」
 A男 「いやないです。分かりません」
 タムラ 「もう一度同じ書類を郵送しますので、届き次第返信だけいただいてもよろしいですか?」
 A男 「何をするんですか?」
 タムラ 「医療明細書が入ってまして、内容に間違いなければ署名がいただきたかった書類になります。昨年の8月から提出が必要になった書類でして、1年に1度届くようになってるんですが、ご本人様で使われているかの確認書類になります」
 A男 「分かりました。何課の誰でしたか、もう一度お願いします」
 タムラ 「健康保険課のタムラです。今後ともよろしくお願いします」

 県警によると、2月16日午前11時40分ごろ、大村市内の70代男性宅の固定電話にかかってきた電話の内容だ。不審に思った男性が大村署に相談。「タムラ」は大村市職員をかたったが、同市に健康保険課は存在しない。

ニセ電話詐欺の県内被害状況

 もう一つの音声データも同日夜、同市の60代男性宅にかかってきた予兆電話のやりとり。2人とも録音機を設置しており、県警に音声データを提供した。県警生活安全企画課は「もしこのままだまされていれば、還付金の未払いなどを名目にATMへと誘導され、詐欺被害に遭っていたかもしれない」と指摘する。
 昨年度末、県内で認知された還付金詐欺被害は計10件。役所での手続きが増える年度末の時期を狙って、「還付金がある」とだます手口だ。今年は2月末までに被害が2件(被害額計約124万円)、予兆電話は各地で約50件が確認されている。
 予兆電話は1月下旬から2月上旬までは「NTT職員」を名乗っていたが、「市職員」に変化。最近は「防犯協会」「民生委員」をかたるパターンも。対策として県警は、自動通話録音機の設置を呼びかける。現在、約670件を貸し出しているが設置世帯で被害は確認されていない。さらに約300台を貸し出し可能。問い合わせは最寄りの警察署か県警本部へ。


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