初日最速のトヨタ小林可夢偉「まだタイムを縮められる余地がある」/WEC第1戦セブリング

 3月15日(水)、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われている2023年WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルの公式練習初日をワン・ツーで終えた。

 マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスとともに7号車GR010ハイブリッドをドライブする小林可夢偉は1分46秒954を叩き出し、長い歴史を持つセブリングのサーキットにおける、ハイパーカーによる公式セッションでの最速タイムを塗り替えた。

 チームメイトであるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車GR010ハイブリッドは、7号車から0.318秒遅れの2番手タイムで続き、TGRは昨年から引き続き参戦しているライバルのグリッケンハウスとプジョー、そして、今季新たに加わったキャデラック、フェラーリ、ポルシェ、ヴァンウォールという計11台のハイパーカーをリードして初日を終えた。

 これまで総計3500kmに及ぶテスト走行を経てきたTGRは、先週末に同じセブリングで行われた公式テスト『プロローグ』でもトップタイムをマークするなど、レースウイークへ向け順調に準備を進めてきた。プロローグ時のセブリングは蒸し暑かったのに対し、レースウイーク初日となったこの日は風が強く、気温も17度までしか上がらないという異なるコンディションとなった。

 午前10時55分より1時間のフリープラクティス1では、空力とメカニカルに関するセットアップ調整、そして、低い路面温度下でのタイヤ評価等を行った。残り2分というところで8号車の平川が最初に1分48秒を切るタイムをマークし、このセッション最速に。7号車はロペスのアタックで5番手につけた。

 太陽が顔を出し、より暖かなコンディションとなった午後のフリープラクティス2では、可夢偉がこの日初めてドライブ。だが、彼の走行は、セッション序盤に出された10分間ほどの赤旗で遮られることとなった。

 再開後、可夢偉は1周6.019kmのセブリングで、昨年ハイパーカーが記録した予選ポールポジションのタイムをコンマ5秒ほど上回り、ハイパーカーによるセブリングでの史上最速タイムを叩き出した。

 8号車ハートレーが可夢偉に次ぐタイムをマークし、最終的にTGRはワン・ツーでこのセッションを終えた。

 16日(木)には、フリープラクティス3と予選のセッションが行われる予定だ。TGRからセブリングの走行初日に参加した6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。

■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「今日はとても順調でした。コースコンディションが変わったため、そこへクルマをあわせる作業を行い、さらにバランスの改良も続けていく必要があると思っています」

「私自身、午後の公式練習2回目でしか走っておらず、そこで最速タイムをマークできたのは良かったですが、まだタイムを縮められる余地があると思っています」

「これまでのところ、チームは素晴らしい仕事をしてくれていますが、ライバルとの戦況を語るにはまだ早いでしょう。我々の走行プログラムは順調に進んでおり、現時点での状況には満足しています」

■マイク・コンウェイ(7号車)

「今日は2台ともにまずまずの一日だったが、まだ改善すべき箇所がいくつかあるので、今夜も車両セットアップとバランス面での最適化等の改良を続ける必要があるだろう」

「今日は赤旗中断が多かったこともあり、あまり走ることができなかったという印象だったが、プロローグの時よりも各車のタイムは接近しており、そういう意味でも学ぶことの多い1日だった。明日も頑張りたい」

■ホセ・マリア・ロペス(7号車)

「我々のペースは良く、ラップタイムも可夢偉が素晴らしいタイムを刻んでくれたおかげでとても好調に見える」

「しかし、ライバルも接近してきており、バランスやタイヤの面でまだやるべきことが残っている。ポテンシャルは示せたと思うが、バランス面での良い妥協点を見出すべくさらに努力を続ける必要がある」

「2023年仕様のGR010ハイブリッドでは、2回のテストとプロローグを走っただけなので、まだまだ学ぶことは多いが、ゴールはそう遠くないと思っている」

2023WEC第1戦セブリング ピット裏で走りを見守る小林可夢偉チーム代表兼7号車ドライバーら

■セバスチャン・ブエミ(8号車)

「私自身、今日はそれほど多くの周回をこなすことができなかったが、GR010ハイブリッドは好調で、赤旗中断で走行時間が限られた中で、チームとしては可能な限り走れたと思う」

「プロローグの時に比べてかなり涼しくなったので、低温コンディション下でのタイヤの挙動などを学ぶ良い機会となった。決勝レースまでには最適な状況にできればと思う」

「GR010ハイブリッドはとても感触が良いので、最大限にその性能を引き出さなくてはならなない。プッシュを続けていく」

■ブレンドン・ハートレー(8号車)

「プロローグの週末とはコースコンディションが異なり、路面温度が下がったことと風も変わったが、今日もスムーズな一日となり、順調だった」

「大きな車両セットアップ変更などは行わず、細部の微調整作業などが主だったが、順調に進んだと思う。GR010ハイブリッドにはとても満足しているが、まだ全てを自分のものにするには時間がかかるだろう」

「戦いは激しくなっていることを感じているが、まずは自分たち自身に集中し、明日、明後日に向けて自信を持つことだ」

■平川亮(8号車)

「チームとして両セッショントップでしたし、公式練習1回目では私自身が最速タイムをマークできたので、これまでの流れには満足しています」

「チームのハードワークのおかげでトラブルも無く、順調なので、この勢いを維持できればと思います。予選と決勝はさらに接近した争いになり、エキサイティングなものになるでしょう。激戦に備えて全てを磨き上げなくてはなりません」

2023年WEC第1戦、セブリング・インターナショナル・レースウェイを走る2台のトヨタGR010ハイブリッド

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