美しい桜を未来に残すには… 老木化進む都内の桜、寄付金集めに苦労も

東京都心の桜は3月14日に開花の発表があり、お花見のシーズンを迎えました。その一方で、都内各地ではソメイヨシノの老木化が進み、保全のための取り組みが進んでいます。

千代田区では桜の木の保全のため、クラウドファンディングを行っています。千鳥ケ淵など桜の名所の多い千代田区は維持管理などに毎年900万円ほどの金額がかかっています。こうした経費に対しては、さくらまつりでの寄付金などで作られた「千代田区さくら基金」から毎年700万円が支出されています。ところがコロナ禍でさくらまつりが3年連続で中止になり、寄付金は激減してしまいました。

そこで2022年からクラウドファンディングを始め、今年で2回目となります。2023年のクラウドファンディングも始まっていて、目標としている1000万円に対し、すでに160万円ほどが集まっています。寄付に対するさまざまなリターンも用意されていて、お堀の桜から作られたものや千代田区にちなんだものが並んでいます。

保全が続く桜がある一方で、都内では保全が間に合わなかった地域もあります。JR五日市線の武蔵増戸駅前では「増戸の桜ライトアップ・ファイナル」というイベントが開かれています。駅前の立派な桜は「安兵衛桜」と呼ばれ、98年前に地元で造園業を営んでいた坂本安兵衛さんによって植えられたものです。長年にわたって地元で愛されてきた桜の木でしたが、外来種のカミキリムシにやられて木が倒れる恐れが出てきました。このため、敷地を管理するJR東日本が2022年度中の伐採を決定しました。ただ、地元住民からの要望を受け、桜のシーズンが終わった4月以降の伐採になったということです。住民の有志は桜に感謝する気持ちから"桜の木の晩年を華やかに彩りたい”と6年前からライトアップを始め、「増戸の桜」という歌も作って動画サイトにも投稿しています。

美しい桜が見られる陰にはさまざまな苦労に支えられています。今年の桜を楽しむ際には桜の保全についても少し思いをはせたいものです。

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